【薄桜鬼】〜美男剣士は、実は女？〜肆

百六十八話　込み上げる羞恥心… ページ19

一「待て総司…！
　後始末くらい自分で…」


土方「良い。そっとしといてやれ」


引き留めようとする一を土方が制す。


一「良いのですか？」


覚束ない足取りで去っていく
総司の背中を見送って
彼はふぅ…っとため息をついた。


土方「あいつはあいつで
　やりすぎちまったって思ってんだよ。
　……わりぃけど、片付けを頼めるか」


Aと同様に総司もまた
土方にとってはまだ手のかかる子供なのだ。

向こうは出会った日から今日まで
終わりの見えない絶賛反抗期だが。


一「承知しました。あと、早乙女…これを」


そう言って一が懐から出して
Aに手渡したのは石田散薬だった。


一「きっと何かの助けになる」


新八「いや、何の助けにもなんねーだろ！」


土方「あﾞ？……今何つった、新八」


それは言わずと知れた
土方の実家で作られた効能が有るか無いか
何とも言えない薬である。


新八「ち、ちが……この状況では
　使い道がないってことな！」


A (熱が出たときも飲まされたが
　これ、苦くて不味いんだよな……)


それを受け取って
ふと熱を出したときのことを思い出し
Aは徐々に冷静さを取り戻してゆく。

そう考えると、石田散薬にも
ちゃんと意味はあった……やもしれぬ。


土方「……Aも、ちったぁ落ち着いたか」


その問いに一度息を飲み込んでから
ゆっくり頷いて袖で涙を拭う。


A「はい……大変見苦しいところを
　お見せしました…このような些事に
　副長を巻き込んで申し訳ありません…」


土方「まあ、確かに
　こんなとばっちりは二度と御免だな」


新八「つーか、ほんとに平気か？
　千鶴ちゃん呼んでくっか？」


それがAにとって
一番の元気の源だろうと新八が提案するが、
彼女は即座に首を横に振った。


A「こんな弱くて情けない姿を
　あの子にだけは見せたくない…」


年上として、武士として…
これは彼女の譲れない矜持だ。


左之助「じゃあ、この可愛らしい姿が
　見れんのは兄貴分の特権だな」


不敵な笑みとともに
新八と同じく左之助の口から出たその言葉に
Aはぐっと息を詰まらせる。

“兄”……その響きが胸に鈍い痛みを与えた。


A「……俺に兄なんていらない。
　もう降ろしてくれ…」


涼しげな顔を繕って左之助の腕から離れる。

まだ少し足がふらつくが
これ以上の醜態を晒したくない一心で
力強く二本の足で身体を支える。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


続く

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ラッキースケベ

斎藤一　風呂上がりの無防備な恰好で出くわすと説教＆襟巻でぐるぐる巻きにされる！なにゆえ？！

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