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四話 俺達の運命は… ページ5

「ん…(あなたは昨日の…)」


眠りが浅かったのか
少女はすぐに目を覚ました。


A「ちょっと待ってて。今、縄を解く」


そうして、Aは
彼女の拘束も取り去り二人で向き合った。


「あ、あの…昨日といい今日も…
 助けていただきありがとうございます!」


A「いや、奴らに隙を見せなければ
 俺もきみもこうして捕まらずに済んだ。
 ……力不足でごめんね」


「そんなことは…!
 あ…私は雪村千鶴といいます。あなたは…」


A「(千鶴……?)
 ……俺は…早乙女Aだ。よろしく」


“千鶴”という響きがなんとも懐かしい。


もしかすると──…

この子は幼い頃をともに過ごした
あの千鶴かもしれない…と、Aは思った。


千鶴「よろしくお願いします、Aさん!
 あの…ここは一体何処なのでしょう…?」


A「おそらくは昨日の男達の住み家か…」


いかにしてこの状況を乗り切るのか
Aは再び難しい顔をして唸る。


すると──…


「目が覚めたかい?」


四十歳くらいの温厚そうな男が
障子襖を開けて部屋へと入ってきた。

突然の訪問者に驚き、
二人ともすぐには言葉が出せない。


「おや…自分らで縄を解いたのかい?」


すると男は、特に敵意を向けることなく
純粋に感心したように訊ねてきた。


A「……あれだけ
 きつく縛り付けられては仕方あるまい。
 何か問題でもあるのか…?」


警戒心をあらわに、そう答える。


「あ……それは総司のやつがすまなかったね…
 こんな扱いで本当に申し訳ない…!」


男は、自分よりも確実に幼く
対等な立場とは言えない二人に
誠意を込めて謝罪した。

おそらく、この腰の低さは
彼の穏やかな人柄からくるのだろう。


その誠実さには、男嫌いのAも
少なからず好感が持てた。


千鶴「あ…あの、ここは何処ですか?
 あなたは一体…?」


「ああ…失礼!私は井上源三郎。
 ここは新選組の屯所だ」


千鶴「新選組っ!?」


A「京の治安を守ってるという
 あの集団のことか…
 (そういえば…浅葱色の羽織であったな)」


相も変わらずAは冷静だが、
千鶴が驚くのも無理はない。


何故ならば───…

新選組とは、京の都で“人殺し集団”として
広く名の知られた浪士組なのだから。


京へ来たばかりの二人でさえ
耳にしたことのある程に悪名を轟かせている。



*********


続く

五話 幹部達とは…→←三話 連れて行かれたのは…


ラッキー人物

藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆


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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時

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