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三十二話 何ができるだろう… ページ33

数日が経過して──…

大阪出張から土方と
そして、怪我を負った山南が屯所に戻った。


山南の腕の怪我を見て皆は心配したが、
本人は大したことないと笑っていた。


しかし──…

片腕ではまともに真剣が扱えないようで
彼が人に隠れて一人で刀を振っているのを
Aは何度も見かけた。

そのたびに、
胸が押しつぶされるような痛みを感じる。


それは彼女が武士として
彼の気持ちをよく理解できたためだ。


A「山南総長…おはようございます」


山南「おはようございます早乙女くん。
 隊士達の指導がすっかり
 板についたではありませんか」


ある日、彼女達は一対一で話す機会ができた。

毎日のように陰から
道場の様子をうかがっていた山南に
ずっと前から気付いていたAが
ついに声をかけたのがきっかけである。


A「おかげさまで。あの、総長…」


山南「なんでしょう?」


“怪我の具合はいかがですか?”
“元気を出してください”
“きっとその腕は良くなりますよ”

さまざまなことが頭に浮かんだが、
こんな上辺だけの言葉は
彼をさらに傷つけるだけだろう。


A「……いえ、なんでもありません。
 (余所者の俺が言えるわけないよな…)」


山南「そうですか。
 では引き続き隊士の指導をお願いします。
 きみの稽古の仕方は評判ですからね…」


A「勿体ないお言葉です…」


普通に会話してるようで、
二人はどこかぎこちない様子で別れた。



* * *



そして、山南は
自室に戻ってから静かに顔をしかめた。


山南「……っ!」


本来ならば自分も共に刀を握って
己の剣術を磨きたい。

だが、それが叶わぬ現実に苛立つばかり。

最近では、本来喜ばしいはずの
下級隊士らの剣術の向上でさえも恨めしい。


そして──…

そう思っている自分に気付いたとき
山南は自らを軽蔑し、自己嫌悪におちいった。



**********


続く

三十三話 俺も見習わないと…→←三十一話 話すのは構わないが…


ラッキー人物

藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆


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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時

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