二十八話 いらない記憶… ページ29
そして──…
千鶴「あの……なんとなくなんですけど
私とAさんってもっと昔に
会ったこととかありませんか?」
A「え?!」
度重なる既視感と胸を焦がす感情の
答えを千鶴は探している。
見通しの悪い霧の中で手探りに。
千鶴「あ、いえ…勘違いかもしれないんです!
正直なところ子供の時の記憶も曖昧で…
でもAさんがとても懐かしくて」
A「そ、うか…」
ぼんやりとした記憶であっても、
千鶴の中に少しでも自分の存在が
残っていたことにAは喜びを感じる。
いっそのこと全てを話してしまいたい。
けれども、
彼女の記憶を呼び起こすということは──…
自分が人間ではないことや──…
雪村家が滅んだことや──…
双子の兄の薫と生き別れてしまった──…
…と、いう千鶴が忘れてしまいたい程に
辛い出来事を思い出す
きっかけになるかもしれない。
せっかく今は笑っていられるのに
もし、この笑顔が崩れてしまったら……
─────そんなことは嫌だ!
A「もしかしたら、
前世では本当の兄妹だったのかもね…。
それとも夫婦(めおと)かな…?」
相反する二つの感情が交錯する中、
Aは顔を背けながら
茶化すようにそうとしか言わなかった。
いや──言えなかった。
千鶴「っ……そうだったら嬉しいです」
A「俺もだよ…」
無邪気な笑顔の彼女に、
悲しげな作り笑顔を返してAは
その部屋を後にした。
**********
続く
ラッキー人物
藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆
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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時