二十四話 膨らみあがる疑問… ページ25
彼が去った後には、
何とも言えない
重い空気がそこに漂った。
総司「いざとなれば“クスリ”でもなんでも
使ってもらうしかないですね…」
酒をたしなみながら呟かれた小さな声は
その沈んだ空気に拍車をかける。
一方、この場において違和感のある
クスリという単語に──…
彼らの言うものが自分の知る薬とは
異なるものだと察し、
Aはその会話に神経を尖らせた。
新八「滅多な事を言うもんじゃねぇ…
幹部が“新撰組入り”してどうすんだよ」
そして、また出る
部外者には理解できない幹部達の言動。
千鶴「え?」
それに真っ先に反応したのは千鶴だった。
もっとも、彼女の場合は
探る姿勢のAと違って純粋な疑問である。
A「山南総長は元々新選組の総長だろ?」
新八「え…いや……」
平助「違う違う!」
二人の疑問にたじろぐ新八に代わって
平助が深く考えず口を開く。
平助「新選組ってのは
“新”しく“選”ぶ“組”って書くだろ?
俺達が言ってる“新撰組”ってのは
選の字をてへんに……」
左之助「!!平助っ!!!」
──ガッ!!
平助「うわっ!!」
平助の発言にいち早く左之助は反応し、
それを打ち消すように激しく彼を殴り飛ばし
膳ごと後方へ豪快に倒れ込んだ。
千鶴「わぁああっ!!!平助くん!!?」
A「藤堂っ!!」
千鶴とAは驚きのあまり立ち上がって、
突然のことに目を瞬かせた。
それほどの重大なことを
彼は漏らそうとしていたらしい。
A「おい、大丈夫か?」
平助「あ、ああ…。ありがとな」
幾分か落ち着いたAは
尻餅をついている平助に近付き
おずおずと手を差し伸べる。
新八「やりすぎだぞ、左之。
平助もこいつらのことを考えてやってくれ」
A (俺達のこと…?)
新八の言う“こいつら”とは、
今の状況では確実にAと千鶴だ。
ということは、これもまた
新選組の秘密とやらに関わるのだろう。
左之助「……悪かったな」
平助「いや、今のは俺も悪かったけど…
たくっ…左之さんはすぐ手が出るんだからな」
殴られて赤く腫れた頬を押さえて
平助がため息をつく。
一方、左之助の表情は
未だにどこか固いものが感じられた。
それは、彼らの秘密の大きさを
如実に表している。
**********
続く
ラッキー人物
藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆
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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時