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二十二話 忘れたいのに… ページ23

A「……よろしく。
 だが俺は今まで通り
 “藤堂”と呼ばせて頂く。
 男は名前で呼ばない主義でな」


この原因も、Aの男嫌い…
言うなれば千景が関係している。


平助「…でも俺はAって呼ぶからな?」


A「好きに呼んでくれて構わん。
 親しくなった隊士からは
 “Aさん”と呼ばれてるしな」


そのやり取りを見て
左之助と新八は顔を見合わせて
微笑ましそうに笑った。



―――――……

―――…



新八「しかし…今日もせこい夕飯だな。
 つーわけで……!」


平助「あぁっ!…ちょっと新ぱっつぁん!
 なんで俺のおかずばっか狙うのかなー…」


新八「はははっ!!それは体の大きさだ!
 大きい奴はそれなりに食う量が必要なんだよ」


平助「じゃあ、育ちざかりの俺は
 もっと食わないとねっ!!」


新八「あまいっ!!」


それから二人で
子供のようにおかずを奪い合った。

にぎやかだといえば聞こえは良いが、
言い変えればただの幼稚な争いである。


一方、左之助の隣に座った
Aとその隣に座った千鶴は
箸を口に運ばせながらも
二人のやり取りを興味深げに見つめている。

いや──…
呆気にとられていると言った方が正しい。


左之助「毎回毎回、こんなだ…。
 騒がしくてすまないな…」


千鶴「いえ、なんだかみんなで
 わいわい食べるのって楽しい…」


A「ふふ…それもそうだな。
 (風間家ではこんなに騒がしくなかったが
 今みたいに温かかった気がする…)」


そして、二人で顔を合わせて
またくすりと笑った。


左之助「やっと笑ったな」


千鶴「え?」


左之助「最初からそうやって笑ってろ。
 俺達もお前らを悪いようにはしないさ」


手近にあったAの頭を
がしがしと大雑把に撫で回して
左之助は余裕のある大人の笑みを浮かべた。


千鶴「はい!」


左之助「ん?どうかしたか、A?」


千鶴がうなづく一方、
Aは頭に乗せられた彼の手の感覚に
頭が真っ白になっていた。

彼女はこの屯所に来てから
千鶴の頭を撫でる機会は幾度となくあったが、
自分が撫でられることはなく…


それどころか──…
最後に撫でられたのは風間家を去った
十四歳のときかもしれない。

思い出すのは、
やはり“彼”のことだった──…


A「に……さ…ま……っ」



**********


続く

二十三話 突然の嫌な報せは…→←二十一話 感じる温かみ…


ラッキー人物

藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆


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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時

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