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二十一話 感じる温かみ… ページ22

新八「遅ぇよ。
 お前ら俺のこの腹の高鳴り
 どうしてくれんだ?」


彼らが広間につくやいなや聞こえたのは
食欲旺盛な新八の文句である。

腹の高鳴りって…洒落た言い方をしても
ただ腹の虫が泣いてるだけだろうが…と、
Aは内心呆れる。


しかし──…

そんなことよりも幹部達と関わるのが億劫で
下を向きながら小さくため息をついた。


千鶴「すみません、私のせいで…」


そこで律儀な千鶴は
新八に向かって頭を下げる。


左之助「ん…?なんでそいつらがいるんだ?」


平助「なんだよ?居ちゃ悪い?」


左之助がそう言うと、
二人分の膳を持ちながら平助は口を尖らせた。

その行動は、
彼女らに疎外感を与えないようにとした
まっすぐな彼の優しさだ。


新八「んなこたねーが…まあ、
 飯は皆で食った方がうめえに決まってる!」


左之助「おい、そんなとこに
 突っ立ってねーでこっちに座れ」


その思いをすぐにくみとって
快く二人を迎え入れた彼らからも
気遣いが感じ取れる。

三人の対応が予想外で
Aはしばし目を大きくさせて驚いたが
誰も気付くことはなかった。


千鶴「すみません」


A「(まあ、成り行きとはいえ…)
 ……では、失礼する」


平助「はいよ」


左之助が空けた新八との間に
平助が運んできた膳を置いた。

それは、言い出しっぺだからと
総司から押し付けられたものである。


A「わざわざ悪いな、藤堂」


千鶴「ありがとうございます…藤堂さん」


平助「ああ…二人とも、その呼び方やめない?
 みんな“平助”って呼ぶからそれでいいよ」


千鶴「でも…」


平助「歳も近そうだから
 その方がしっくりくるし
 俺も“千鶴”と“A”って呼ぶから」


困ったように視線を落としたが、
やがて千鶴は根負けして照れくさそうに──…


千鶴「じゃあ……“平助くん”で」


平助「そ。それでいいよ。んじゃあ、
 千鶴!A!改めてよろしくな!」


千鶴「はい」


名前で呼ばれたことによって緊張が解け
千鶴は目を細めて笑った。


A「ふふ…っ」


そんな彼女を見てAもまた
子の成長を見守る母のように
なんとも穏やかな微笑をこぼした。

二人のやり取りがなんとも微笑ましくて。


そして──…

無愛想なAの珍しい笑顔に
幹部連中が思わず見入ってしまったのは
ここだけの話───…



**********


続く

二十二話 忘れたいのに…→←二十話 行くか、行かぬか…


ラッキー人物

藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆


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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時

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