六話 俺はきみを守るよ… ページ7
すると──…
「お前がガキとか言うなよ、平助」
「だな。世間様から見りゃ
お前だって似たようなもんだろーがよ」
平助と呼ばれた少年の近くに座る
体格の良い赤髪の男と緑色の鉢巻をした男が
口々に彼をからかう。
それから──…
三人で中身のない口喧嘩を始めて
収拾がつかなくなる。
そのやり取りに呆気に取られ
Aと千鶴はただ茫然と眺めていた。
近藤と名乗る男の一喝により場が静まり、
山南という知的な印象の眼鏡の男に促され
彼女らは襖を閉めて座る。
すると今度は──…
近藤がAらに丁寧に自己紹介を始め、
土方という昨日の男に制止されたために
話は昨日のことになり代わった。
その一連の流れに、Aは
なんとなく彼らの力関係や人柄を把握する。
近藤「まず……改めて、
昨夜の話を聞かせてくれるか、斎藤くん」
一「昨夜、失敗した隊士らが市中にて
不逞浪士と遭遇。斬り合いとなりましたが、
この者が処理しました。
そして、その折にこの者に目撃されました」
一がAと千鶴に目をやり簡潔に言う。
A (“失敗した隊士”…?
…なるほど。あの狂った男達は
こいつら新選組の隠したい存在ということか)
新八「な…っ!アレを斬ったのかよ?」
平助「この小さいのが…!?」
──ブチッ…
何気なく口から出た平助の言葉が
Aの逆鱗に触れた。
A「おい、お前…
次、小さいと言えば斬る…!」
平助「わ…わりぃ…!」
総司「はははっ!拘束されて手が使えない子に
怯えるなんて平助は馬鹿だね。
(この子って背が低いの気にしてるんだ…)」
口に弧を描いて総司が楽しげに笑うのを
視界の端に捉え、Aは怒りを覚えた。
その苛立ちをかき消すように
咳払いして言葉を続ける。
A「俺はただ己の身を守るために
斬りかかってきた者を返り討ちに
したまでだが、何か問題でもあるのか?」
己に非はないと主張し──…
A「あと、勘違いしてるようだが…
この子は俺の言いつけを守り
ずっと目を瞑っていたゆえ何も知らぬ。…な?」
…────全力で千鶴を庇った。
千鶴「(Aさん…私を庇って……?)
は…はい!私、何も見てませんっ!!」
平助「本当に?」
千鶴「見てません!」
平助「ふーん…。ならいいんだけどさ…」
この時の平助は、
先程までの焦った様子は影もなく
新選組の幹部らしい鋭い目をしていた。
**********
続く
ラッキー人物
藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆
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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時