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四十七話 今なら俺にも分かる… ページ48

平助「!!(この簪…)」


それは、全体が暗い紫がかった色で
淡い桜を散らせた模様の
派手すぎずただただ綺麗な簪であった。

まるで儚く散る夜桜を連想させる。


平助「なあ、A!」


A「なんだ……って、うわっ?!」


──スッ…


彼女が振り向いた瞬間、
平助はひもでくくられた彼女の髪に
その簪を挿した。

突然のことにAは
驚きのあまり、きょとんと目を丸くする。


平助「よし!やっぱりAに似合うな」


A「な、なんで俺なんかにつけるんだ…?」


満足そうに歯を出して笑いかける平助に
わけが分からないAは
目を大きくさせたままそう訊ねた。


同時に──…

苦手意識を待たれているはずなのに
こんな屈託のない笑みを向けられたことに
面食らったのだ。


すると、その問いに対して平助は──…


平助「いやさ……総司も左之さんも
 Aのこと可愛いって言うから
 わけ分かんねーってずっと思ってたんだ。
 けどよー……」


照れくさそうに頬をかいて
簪を挿したままのAを見回しながら
平助は言葉を続けた。


平助「たしかに髪も綺麗だし顔も整ってるし
 こうしてるとそこら辺の女より
 全然可愛いじゃ……………は…っ!!」


思ったことを九割ほど言い放ったところで
彼は慌てて口に手を当て言葉を遮った。

男がこんなことを言われても
嬉しいはずがないと気付いて。


もっとも──…

知っての通り、まだ誰も気づいてないが
Aは正真正銘の女なのである。


平助 (や、やべーっ!!!
 Aにこんなこと言ったら
 今度こそ確実に殺される…!)


口を塞いだまま彼女に背を向け
上手い言い訳も浮かばずに慌てふためいた。

その脳裏に
怒り狂ったAの姿を思い浮かべて。


A「……藤堂…」


すると、かすれて聞き取りにくい声が
背後から投げかけられた。


まるで怒りのような何らかの感情を
押し殺しているかのように震えている…

…────そんな声を。



**********


続く

四十八話 怒りじゃなくて…→←四十六話 せっかくだから…


ラッキー人物

藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆


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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時

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