検索窓
今日:7 hit、昨日:34 hit、合計:1,366,707 hit

四十五話 苦手なはずなのに… ページ46

平助「な、なんで
 Aが謝るんだよ?!」


A「……俺は無類の男嫌いなんだ。
 だからきつく当たってしまうことも多いし
 こんな体格だから小さいと言われると
 過敏に反応してしまう。
 藤堂は何も悪くないのにな…。
 お前達に嫌われても無理はないさ」


平助「A……あのさっ!俺は…」


別に自分はAのことが
嫌いなわけではなくて、
どう接して良いのか分からないだけなんだ。

そう伝えたくて
平助は彼女の両肩に手を置いて
近距離で自分の真正面に向かせる。

その近い距離感に
Aは表情を強張らせて固まった。


そこへ──…


「Aさん!これはどうでしょう?」


A「あ……どれ、見せて」


一人の隊士から声をかけられたために
平助の手を振り払って
何食わぬ顔でその者のもとへ向かった。

彼女にとって思わぬ好機となったのは
言うまでもない。


A「そうだな…きみには長くて邪魔だな。
 もう少し短くて太いものを選ぶべきだ」


その刀を軽く振って正確に受け答えした。

普段の稽古によって、彼女は
隊士達の剣のくせをおおよそ把握している。


「俺にこれはどうでしょう?」


すると、また別の者が刀を手に
彼女に意見を窺う。


A「なかなか良い目をしている。
 理想としてはあと少しだけ軽いものが
 望ましいがこれも悪くない」


「ありがとうございます!」


「次!俺もお願いしますっ」


「お、俺も…!!」


A「分かった!
 順番に見るから待ってくれ…」


あっという間に隊士全員にお呼びがかかり
店の端から端までせわしなく
行き交いする羽目となった。

それでも、そんな忙しさが楽しくて
隊士と話すたびにAには微笑が絶えない。


平助「……」


その様子を呆然と見守る平助は、
ふと先程のAの言葉を思い返してみた。

確かに、普段から彼女に触れようとすると
皆は意識的に避けられている。

様々な方面において鈍い
自分でも気づいているのだから
他の者はすでに全員感づいているだろう。


しかし──…

一般隊士たちとは自分達よりも
幾分か友好的に接しているような気がして
どこか言い表せない劣等感を感じる。


それから隊士の刀選びが終わるまで彼は
胸がぐっと締め付けられるような
上手く言い表せない苦しみを味わった。



**********


続く

四十六話 せっかくだから…→←四十四話 やっと笑ったな…


ラッキー人物

藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (933 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1204人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 , 男装 , 女鬼
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。