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四十三話 ご機嫌の理由は… ページ44

それを見て近藤は
この場をまとめるように
言い放った──…


近藤「では、平助が同行するということで
 明日は早乙女くんに外出許可を与えよう!
 毎日の疲れを癒すように
 休日だと思って存分に楽しんでくれ」


A「はい!」


近藤が穏やかに微笑むと
その人の良さそうな温かさにつられて
彼女も口元を緩めて返事した。


平助「はい……」


彼だけは元気がなさそうだが…。



* * *



そして次の日──…


平助と数名の一般隊士達とともに
Aは久しぶりの外に出た。

町人の活気のある声や
子供のはしゃぎ声でさえも懐かしく思えて、
彼女の足取りは自然と軽い。


平助「なんでこんなに隊士がいるんだ?
 約束したのは一人じゃねーの?」


鍛冶屋へと歩みを進めながら、
平助は屯所を出たときから
ずっと抱いていた疑問を述べた。


A「ああ…後から何人か
 自分も同行したいと志願してきたのだ」


平助「へー…なるほど……
 (Aって人望が厚いんだよなー…)」


やはり二人の間にはぎこちなさがあり
すぐに会話が途切れて口数は少なくなる。

だが、そんな沈黙も居心地が悪く
平助はなんとか話の取っ掛かりを探そうと
一人そわそわと視線を泳がせた。


そして──…
またとある疑問を見つけたのだ。


平助「つーか、A。
 いつもより身長伸びてねーか?」


しばらく隣を歩いて、ふと気が付いた。

普段は自分よりも背が低く
ことあるごとに(仕方がなく)上目づかいで
接してきたAが今は自分と同じ…
いや、少しばかり大きく見えるではないか。

そのことに「あれ?」と平助が首を傾げる。


するとAは満足そうな顔で──…


A「ふっ……やっと気付いたか。
 俺の愛用の下駄のおかげだ!
 これさえ履けばお前より背が高くなるだろ?」


平助「あ、ああ……
 (こんな活き活きしてるA…初めて見た)」


この時の彼女は、普段はけして
見せることのない得意げな笑顔で
大変にご機嫌な様子だ。


その足元では、
確かに店ではあまり見かけないほどに
厚底の下駄が彼女を支えていた。

その高さは三寸(約9cm)程か。



**********


続く

四十四話 やっと笑ったな…→←四十二話 相変わらずな二人…


ラッキー人物

藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆


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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時

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