十六話 あの女の子… ページ17
* * *
“千鶴…”
目を閉じると浮かぶのは
決まって同じ情景と同じ人々だった──…
そこには幼い頃の自分にそっくりな
心優しい男の子がいて──……
そしてもう一人……
たまに自分達に会いに来てくれる
面倒見の良い女の子がいて───……
“千鶴はお手玉が好きなんだよね?
これ…作ってきたんだけどもらってくれる”
自分の好きなことをよく理解して
満足するまでずっと遊んでくれた──…
“ほら、もう泣き止んで…。
千鶴は笑顔が一番可愛いんだから、ね?”
泣き虫だった自分が泣き出すたびに
ぎゅっと抱きしめて
笑うまでそばにいてくれた──…
本当に、好きで…大好きで仕方なかった。
だけど──…
“ごめんね…千鶴、__…。
私、父様も母様も亡くなって……
これから__に引き取られるの。
だから、もう二人には滅多に会えないと思う…”
“いや…っ!お姉ちゃん!!
__お姉ちゃんっ!!”
背中を向けて走り出す女の子を
幼い千鶴は泣きながら必死に追いかける。
しかし、その背中に追いつくことはなかった。
* * *
千鶴「い…っ!」
頭に痛みを感じて、記憶はここで途切れる。
同時に、瞳いっぱいに
涙をためている自分に気付いた。
千鶴「変ですよね…昔からあの子を
思い出すたびに泣いちゃうなんて……っ」
袖で涙をぬぐいながら千鶴は
胸にしこりを残して静かに障子を閉めた。
記憶に蓋をするように。
最早、その記憶が本当にあったことなのか
兄弟のいない自分が作り出した
願望の産物なのかすらも分からない。
ただ……叶うならば──…
───その夢の中の優しい人々と会いたい。
**********
続く
ラッキー人物
藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆
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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時