【薄桜鬼】～美男剣士は、実は女？～惨 (ページ9)

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百八話　監察方の手伝いとな… ページ9

―――――……

―――…

あくる日、Aは緊張した面持ちで
その場に正座していた。

そこには──…

近藤、土方、山南の上司三人と
監察方の島田と山崎の二人だけがいる。

何故、この面子の中に
自分が呼ばれたのか分からず
彼女は当惑しているのだ。

土方「急に呼び出して悪かったな…」

最初に口を開いたのは土方だった。

しかし、その表情は
呼び出されたAよりも
緊張してるように窺える。

A「いえ…いかがされましたか？」

そんな彼を見てAは
すぐにただ事ではないと悟り、襟を正す。

近藤「そうだなぁ……まずは
　これまでの経緯の説明を頼む！島田くん」

島田「はい。ここ数日、京の町で年若い娘が
　相次いで行方知れずになっています」

そう切り出して、
驚きの表情になるAを
まっすぐに見て島田は言葉を続けた。

島田「調査の結果、年齢はいずれも
　十代半ばから二十代前半で、
　共通点は見目の良い娘とのことです」

A「なんと…っ！よからぬことに
　巻き込まれているのやもしれんな……
　犯人めっ…許せん…！！」

つまりは、美少女連続誘拐事件だ。

女性を守ることに重きを置く彼女は
まだ見ぬ犯人に確かな殺意が芽生える。

土方「ああ、そこでだ。その調査をお前に
　協力して欲しいのだが……しかしなぁ…」

煮え切らない土方の様子に首を傾げるが
彼女の答えはすでに決まっている。

A「俺に出来ることならば
　何でも協力致します！
　か弱き乙女を浚うなど卑劣な奴ら……
　一人残らず斬り捨ててやりましょう！！」

山崎「いや、早乙女くんには
　我々監察方の任務に力を貸して欲しくて…」

昂った感情のままに立ち上がるAを
宥めるように山崎がそう口を開くが、
彼もまたどこか歯切れが悪い。

A「ということは、忍法……いや、
　隠密ということか？」

山崎「ああ…」

忍びに密かな憧れのあるAが
うっかりもらした“忍法”という発言を
気にする者はいなかった。

ちなみに、山崎に対して初めから
好意的だったのも忍者の末裔らしいことを
事前に聞いていたからである。

と言っても、実際に接してみた感触で
実直で職務に誠実な人柄を知り
今となってはそこに好感を持っているが。

近藤「つまりだな……これは
　早乙女くんにしか頼めないと思ったのだが…」

土方「つまり、な……」

初めから今日、この空間には違和感があった。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

続く