【薄桜鬼】～美男剣士は、実は女？～惨 (ページ22)

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百二十一話　己の役目を果たす… ページ22

そうして──…
連れられたのは人気のない
川の畔のとある民家の蔵。

ご丁寧にそっと腕から下ろされた先には
八人の少女がいた。

皆、自分と同じ目に遭ったAに
同情的な眼差しを向けている。

「お嬢さん…もう分かっちゃいるだろうが
　あんたはこれから商品だ」

口の布を取り去って
男がしゃがんでAに語りかける。

A「商品……？」

「ああ、今は異国と仲良くするのが
　賢い選択だとは思わねぇか？」

A「そう、どすなぁ…」

情報を聞き出すためにも
今は大人しく相槌を打つ。

「異国人は日の本の女が珍しいらしくてなぁ
　見目が良ければさらに高く売れんだよ」

A「っ…！(か弱い乙女たちを
　異国との繋がりの人身御供とする気か)」

「あんたはさぞや高く売れるんだろうなぁ？
　でもな…売り飛ばすのが正直惜しい。
　俺のイロになるんだったら
　あんたに別の道も用意してやろう」

A「…っ！」

あごをくいっと持ち上げられ
再び鋭い殺気を飛ばしてしまいそうで
とっさに顔を背けた。

「うぶなのがいじらしいなぁ…」

「おい！あまり商品に構うな…行くぞ！」

「チッ……よぉく考えておくと良い。
　明日にはお前達は船の上だ」

その言葉を最後に、男達は去って行った。

外からカシャンッと
閂(かんぬき)の落とされる音がする。

それが破滅への歩みかのようで
残された少女達は迫った刻限に絶望して
悲しみにくれた。

A (集中しろ……犯人は
　先程の三人と、民家からは五人、
　蔵の裏手に見張りが一人の
　計九人の気配しか感じない。あとは……)

A「きみ達、怖かっただろう。
　安心して…もう大丈夫だから」

そう、少女達に優しく笑いかけた。

すると彼女らの視線が
その真意を探るようにAへと集まる。

A「お……私は新選組の関係者で
　潜入のためにこうしている。
　もうじき仲間が来てきみ達は解放されるよ」

男達に恐怖している少女達の前では
女口調のままでいることとした。

「ほ、ほんにぃ…？」

「うちら……帰れるのぉ？」

A「ええ…私が命に代えても守るよ。
　だからいろいろ教えてほしいの。
　ゆっくりで良いから……いい？」

少女のうちの一人の手を握って
安心させるように笑みを深めると、
こくんとその少女が頷いた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

続く

始まるスーパー男前タイム！(ヒロイン様)