検索窓
今日:72 hit、昨日:76 hit、合計:148,768 hit

百十五話 お前らに用はない… ページ16

とどのつまりは──…

新八が普段のがさつで
元気の有り余った姿とは打って変わり、
借りてきた猫のように
落ち着きなくもじもじしている。

その不気味さに
Aは僅かに頬をひくつかせた。


新八「あ…あの?お嬢さん?」


A「す、すんまへんなぁ…
 うちはもう好い人がいてるのですぅ」


笑顔のままピシィ…と凍りついてしまった
Aを心配する新八に
はっとしてとっさに断り文句を返す。


実は、屯所を出る前に山南から
「この件に関わりのない者に言い寄られたら
こう答えなさい」と、助言を受けた。

彼もまた、態度には出にくいが
Aの身を案じている。


新八「そ、そっすか……そりゃあ美人には
 もう好い人がいて当然だよなー!」


わざとらしく明るく笑い飛ばすが
その目尻には雫が浮かんでいる。

すると──…


平助「ほぉら俺の言った通り!!
 新ぱっつぁんフラれた〜!」


左之助「骨拾いに来たぞー…
 連れがすまなかったな、お嬢さん」


A「い、いえ……
 (誰も俺と気付いてないのか?)」


自分だと見破られぬように
伏し目がちに視線を逸らすが、
彼らはまるで気付いていないようだ。


平助「なぁにが“あのお嬢さんとは
 初めて会った気がしない!絶対運命だ”…だよ?
 新ぱっつぁんだっせー!」


今朝も顔を合わせたので
確かに初めて会った気はしなかろう。


新八「くっそ〜…平助!!
 てめぇがフラれたときは
 いじり倒してやるからなぁ!?」


けらけらと腹を抱えて盛大に笑う平助に
羞恥と怒りと傷心で
荒れる波のように複雑な心境の新八が言う。

その瞳は、やはり涙目だ。


平助「俺は……今はそういうの興味ねーし…」


左之助「平助は、無防備な誰かのおかげで
 毎日が葛藤の日々だもんなー?」


A (こ、こいつら…早くそこを退かねば
 山崎殿が店から出るに出られんだろ…!)


いつもの調子で賑やかに茶化し合う三人に
Aは笑顔のまま内心うんざりしている。

このままでは、囮として
役目を果たせないではないかと。


平助「それどういう意味だよ左之さん!?
 そ、そもそも…新ぱっつぁんがこんな美人に
 声かけることが無謀なん…だ……っ」


自らの話から話題を逸らそうと
娘姿のAを指差すも、
その姿をまじまじと見て声に勢いを失くす。

瞳は彼の感情をつまびらかに表して
大きく揺れ動いている。



**********


続く

百十六話 追い詰められて…→←百十四話 一番に釣れたのは…


ラッキー人物

原田左之助 夜になかなか寝付けなかったら添い寝してくれて…キャッ


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (287 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1792人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 , 男装 , 女鬼
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

亜紀野ユキ(プロフ) - 美憂さん» 嬉しいです!!(*^ω^) (2021年10月28日 22時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
美憂(プロフ) - アニメにハマりこの作品にもハマってます! (2021年10月28日 21時) (レス) @page50 id: 35846edb09 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 夜桜桜愛さん» どうも(*´∀`)キャッ (2021年9月16日 12時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
夜桜桜愛(プロフ) - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2021年9月16日 6時) (レス) id: 612a16ad5c (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 沖田めぐらさん» どうもデス(*´∀`)ノシ (2021年9月14日 18時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2021年5月29日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。