【鬼滅の刃】人生ハードモードでも貴方の生存ルート追い求めます！【煉獄杏寿郎】

七話　これで私も立派な鍼使い ページ9

目に映る青い光を信じて
その三点に鍼を打った。

父さんのやり方を真似て
ゆっくりトントンと押していくと
そこまでだと言うように光が消えていく。


三つとも打ち終えると──…


「おや……足の痛みが消えた…？」


おばあちゃんが不思議そうに呟いた。


いやいや…！

鍼ってあくまでも自己治癒力を高める
東洋医術なのであって
こんな即効性はないですからね！？

…と、思いつつも、
これはただの鍼治療じゃなくて
血鬼術だと思い出してそっと鍼を抜く。


「ど…どうですか？」


「よっこいせ……おおっ！
　まるで痛みを感じないじゃないか…！」


ゆっくり立ち上がって
元気よくその場で足踏みする
おばあちゃんを見て確信できた。

この血鬼術……青い光に鍼を打つと
即効性のある治療ができるらしい。


「よかった……！」


「見習いなんて謙遜して…
　すごいじゃないかお嬢ちゃん！
　本当にありがとねぇ…」


実力ではないんだけど
こんなに喜んでくれて胸が熱くなる。

ついでにお腹も膨れた。


鬼なんかになって
人生オワタ…なんて思ったりもしたけど…

大好きな人達の未来を良い方向へ
変えられるかもしれないし、
少なくともこのおばあちゃんを
笑顔にすることができた。


もし、これから先…
鬼や鬼殺隊の手にかかって死んでも……

救った人の数だけ
私には生きた証が残せるんだね。


「こちらこそ……ありがとうございます…っ」


私の涙まじりの感謝の言葉に
おばあちゃんは首をかしげたけど
やがて何かを察して頭を撫でてくれた。

きっとワケアリの旅なんだと
女のカンでピンと来たみたい。


よしっ！
ここからが大事なビジネスチャンスだ！

治療してからの経過も気になるし
どんな症状でも効くのか知りたいからね。


「おばあちゃん…！！
　実は私はまだ鍼灸医として駆け出しで
　まだまだ経験が足りないんです…」


そう切り出して、おばあちゃんの
人の良さにつけこみ図々しいお願いをした。


「良ければ他の身体の不調とかも
　診させて頂けませんか？
　あと、お知り合いにも
　声を掛けて頂けたら嬉しいです。
　そ、それから経過も見届けたくて
　数日間泊めてくださいっ！！
　その間、女中のように
　好きなだけこき使ってください！」


ドカンと言い切ってから我ながら思った。

これはさすがに厚かましい…
くじいた足を治したからって
得体の知れぬ女を家に置く道理はない。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


続く

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