【鬼滅の刃】人生ハードモードでも貴方の生存ルート追い求めます！【煉獄杏寿郎】

十六話　その少女の歩み ページ18

次は、その出来事から
一週間程して──…

山一つ挟んだ村の地主の奥方が
長年患っていた肺の病を完治させたこと。

同時に、彼女の友人である二人もそれぞれ
生まれつき悪い視力が回復したり、
腰痛が改善したりと計三人に変化が起こった。


その報告に、
槇寿郎の肩が動揺で僅かに震えた。

頭に浮かぶのは最愛の妻、瑠火の顔だ。


「お三方に話を窺いましたが
　頑なに口を閉ざしたため日を改めて別の隠が
　世話になった鍼灸医の女性を探していると
　尋ねると渋りながらも話が聞けました」


とある少女が駆け出しの鍼灸医を自称し
海外由来で未承認の最新医療と偽り
経験を積むためと三人を無償で治療した、と。

少女の名はA。
見た目は十代半ばで典型的な黒髪美人。


先の報告にあった鬼の少女と
容姿、能力共に酷似する。


「待て…！その全てが同一人物の
　歩みならば一つ疑問が残る」


そこへ、一人の柱が口を挟む。


「行方知れずとなった三人家族の中に
　十代半ばの妙齢の女人はいない。
　確かに奇妙な失踪事件ではあるが、
　彼らも鍼灸医だからといって
　全てを安易に結びつけるのは…」


すると、


「ここでもう一つ報告があります。
　三人家族のうちの二人は
　山の高台で遺体で発見されました」


「っ…！」


突然の穏やかではない情報に
皆の顔つきが険しいものとなった。

先程までの奇妙な出来事には
血生臭い話などまるで出てこなかったゆえに。


「土を掘り返した真新しい跡を見つけ
　調べたところ…鍼灸医である
　両親の遺体が埋まっていました。
　外傷は致命傷となった一撃のみで
　目立った損壊もなく丁寧に扱われていました」


確認を終えると、その弔いの意を汲んで
隠らは元通りに亡骸を埋め直し花を添えた。


「つまり──…その鬼の少女の正体は
　三歳になったばかりの
　鍼灸医の娘である可能性が極めて高い」


輝哉が確信をもって
穏やかながらも力強くそう言った。


つまり、彼女の歩みは…

両親と平穏な暮らしを送っていたところ
鬼の襲撃に遭い両親は他界。

自らは鬼と成り果てながらも
両親の亡骸を食らうことなく丁寧に埋葬し、
何らかの術を使って家ごと姿を眩ました。

十代半ばを装って行く先々で
人知を超えた力で人助けして回り、

ついには鬼殺隊とも接触し
彼らの利となる預言をもたらした、と。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


続く

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