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五条さんの反射神経により咄嗟に食器棚に隠れた私たち2人。
五条さんの手は大きく、私の口を抑えるだけのはずが顔をほとんど覆ってしまっていて指の隙間からしか様子が分からない。
ただ勝手口の鍵が開いた音を聞くからに、何かまずいことが起きているのは私にもわかる。
五条さんを盗みみようとちらりと上目で見てみる。
「(しーっ)」
静かにとのハンドサイン。
こんな状況なのに何故か心臓がうるさく顔が火照ってしまう。
そうか、叔父やこの島の男に触られて気持ち悪かったのは、私が顔で判断する面食いだったからなのか...
焦っている時ほど意味のわからない考え事をしたりしてしまう。
すると足音が近づいてくる、先程とは違う私の冷や汗が五条さんの手に落ちてしまう。
足音はなぜか増えている、ドタドタと明らかに複数人の足音だ。
何人もがなぜ私の家に入ってくる?
また生贄としてあの蔵に閉じ込められるのでは────
その時五条さんは私を抱えて、何者かが入ってきた勝手口とは反対の、玄関のほうに駆け出した。
玄関に駆け出したあと五条さんは私を抱えたまま、私を追って家から出た男たちに向かって手をつきだす。
一瞬だった、真白い閃光が周囲をつつむ。
ようやく視界が晴れたと思ったその時、バタバタと倒れる音がする。
わたしを襲いに来たのか知らないが先程の不法侵入者どもが床に突っ伏している。
「こいつらなんなの?友達?じゃないよねぇ」
五条さんは私を下ろすと突っ伏している男の一人のジャケットのポケットを漁る。
「しっかりとした縄だねぇ、こっちの人はなんか薬剤持ってるね」
五条さんは次々と男の身を剥いでいく。
「こんな物騒なもの持って男五人がかりって、Aちゃんなにかしたの〜?」
私を蔵に連れ戻しに来たのだろう。
生贄が戻ればこの島の平穏はもう一度保たれると信じて。
あの頃を思い出して身体が震える、早く本土に帰りたい、こんな島、早く離れたい
ただ私は立ち尽くすしか出来なかった。
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作者名:あきの | 作成日時:2023年9月17日 21時