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百九十九話 これが彼らの日常 ページ5

お芋たっぷりのパフェから
視線を逸らして目が合う。


「甘露寺を姉のように慕うのはわかるが
 隣にいるのに視線が合わぬのは物悲しい。
 ……俺にも集中してほしい」


「ぴゃ…い…っ」


鼻先につんと触れる指と
少しいじけた表情がドスッと胸を射抜いた。

そんなこと言ったら
言質取っておはようからおやすみまで
貴方だけ見つめちゃうぞ!?


「こちらスプーンでございます」


「あ、はい」


って、ちょっと待てウエイトレスさん!

パフェは杏寿郎さんの前に置いたのに
なんで私にスプーン渡すの?


互いに赤面してオムライス食べさせてる
向かい側の尊い二人を見て気を回したのか!?

私には難易度高いって…そろそろ気絶していい?


「えっ…と……ど、どうぞ…っ」


「ありがとう!……わっしょい!!」


もうどうにでもなれとヤケクソ気味に
さつまいもをすくったスプーンを差し出すと
躊躇いなく杏寿郎さんが頬張った。


ようやく聞けた“わっしょい”と
こんなにも顔が近いことに頭が真っ白になる。

この屈託のない笑顔こそが
陽光を浴びれない私にとっての太陽……うっ!


「もうしんどい……っ
 視界いっぱい好きなものしか映らん…!!」


「おっと…!」


限界のきた私が前のめりに倒れると
いつものように杏寿郎さんが受け止めてくれた。

毎度のことで申し訳ないけれども
彼の体温と匂いに包まれる
この瞬間がどうしようもなく好きです。



* * *



【目線なし】


「えっAちゃんどうしたの!?」


うつむいたままぴくりとも動かぬAに
蜜璃がはっと我に返った。


「問題ない。いつものことだ」


「それは本当に問題ないのか?」


自らの膝の上にその頭を置いて
そっと寝かせて杏寿郎が口元を緩める。

緊張でずっと身体を強張らせていた小芭内も
それを見てどこか冷静さを取り戻し、
鏑丸も場の空気を読んで二人を解放した。


「二人とも幸せそうでよかった!
 なんだか私まで嬉しくなっちゃう」


「……割れ鍋に綴じ蓋だな」


本当は今日のお節介を感謝してるのに
口から出るのは皮肉ばかりだ。


「ありがとう!
 おかげでとても楽しい一日だった」


その胸中を知ってか知らずか
杏寿郎は満面の笑みでそれに応える。


その後、彼に抱きかかえられて
蜜璃に日傘を差されながらAは帰った。

意識が戻ってから事の顛末を知り
膝枕とお姫様抱っこからくる羞恥で
彼女は再び気を失うことになる。



**********


続く

二百話 寝込みに奇襲→←百九十八話 いい仕事します


煉獄さんコレクション

煉獄先生 歴史と教育への熱心な姿勢にうっとり!黒板じゃなくて先生だけを見つめちゃうと怒られるよ


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亜紀野ユキ(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます!続編もどうぞよろしく(^-^)/ (6月2日 0時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 久しぶりに作品見に来たらたくさん更新されててめっちゃ嬉しかったです!堕姫ちゃんとの関係のところで涙出ました...知らぬ知らぬうちに関係が深まっていって...(泣)来世のお話もすっごく良かったです。みんな幸せになって欲しいな...この作品をずっと応援してます! (6月1日 19時) (レス) @page40 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - みっささん» 嬉しいです!近日中にまた更新します_〆(゚▽゚*) (5月8日 18時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
みっさ - 初コメ失礼します!面白くて優しくて可愛いヒロインちゃんって神では!???何時も楽しく見させていただいてます!ゆっくりでいいので更新がんばってください! (5月8日 16時) (レス) @page47 id: 0ca1847e23 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - あさん» 頑張ります(〃ω〃)ポッ (5月8日 1時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2023年2月1日 16時

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