【鬼滅の刃】人生ハードモードでも貴方の生存ルート追い求めます！伍【煉獄杏寿郎】

二百三十二話　幻にしては ページ38

「天元様！このまま
　Aちゃん持ち帰りたいです」


「うちじゃ飼えねーよ。
　煉獄んとこに返すんだよ」


須磨さんの提案を宇髄さんが却下した。
ペット生活はしばらく遠慮します。


あ〜もうっ！！

そうやって杏寿郎さんの話すると
会いたくて会いたくて震えるでしょ！


「──その必要はない。迎えにきた」


「え…」


これが禁断症状ってやつか…
特有の震えだけでなく幻聴まで聞こえる。


「我妻少年の雀から報せを受けたが
　遠方の任務で遅くなってすまない」


振り向いてその姿を見て私は固まった。

怖くて痛くて苦しかったし
愛しくて恋しくて
色んな感情がごちゃ混ぜになる。


つまり、


「ついに私は愛しい人の幻を
　出現する血鬼術を会得したのか…！？
　想像力の勝利…再現率高っ」


「お前やっぱり馬鹿だろ」


宇髄さんの冷静なツッコミを聞き流して
まっすぐ幻の元へ走る。


──ぎゅ…っ

胸元に飛び込んで益々驚いた。
感触や匂いまでこの仕上がりとは…


「ずっとここにいたい！」


「そうしてもらえると助かる。
　ただ待つのは気が気でなくてな」


頭を撫でる大きな手も
上から聞こえる声も優しくて温かい。


「顔が見れて幸せです。今日も大好き！」


「そっ…そうか」


本人には無理だけど
妄想になら何でも言えそう。


「すごく頑張ったので
　うーんと甘えさせてください」


わがままや…


「たとえ嫌がろうとも甘やかそう」


「墮姫様に真っ二つにされて
　帯締めを失くしちゃったんですよ。
　すごく気に入ってたのに…！」


愚痴だって。


「その経緯……後で詳しく聞かせてもらおう」


穏やかだった声が急に低くなって
反射的に胸元から顔を上げるが
待ち構えたのは和らげな笑みだった。

気のせいだろうか…？


「そこまで気に入ってもらえて光栄だ。
　帯締めは新しいものを見繕おう」


「ん……あれって杏寿郎さんがくれた…の？」


というか、ちょっと待って…
冷静になったら逆に混乱してきた。

彼を妄想で片付けるのは流石に無理が……


「黙っていてすまなかった。
　あの頃は怖がられていると思い
　直接渡せなくてな」


「うそ…家宝にすべきものを普段づかいして
　失くすなんて万死に値する」


送り主を探さず普段づかいした過去の私。

大切なものの管理を怠った少し前の私。

そして、妄想と思って好き勝手してる今の私。


みんなまとめてシバキたい。
おい、私ちょっとツラ貸せ。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


続く

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煉獄先生　歴史と教育への熱心な姿勢にうっとり！黒板じゃなくて先生だけを見つめちゃうと怒られるよ

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