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二百十二話 女将さんを守って ページ18

(これ以上何も起きないように
 私がやらないと…っ)


達成感を胸に軽やかな足取りで
勝手場を通りかかると
思い詰めた表情で包丁を握る女将さんがいた。


……ああ、もう終わりなのか。

これは仮初めの平穏ってわかってたし
蕨姫様からの扱いも良くはなかったけど
私は漠然と寂しくなった。

あと二日で宇髄さんと炭ちゃんたちがきて
ついに鬼殺隊は上弦の鬼を撃ち破る。


「少しいいですか、女将さん」


「あ、アンタ…っ」


声をかけると女将さんは
ばつの悪い顔をして背中に包丁を隠した。

私が蕨姫様に付き従ってるからだ。


「なんとか失敗せずお酌できましたよ。
 お菓子もらったのでお一つどうぞ」


「あ…ああ、ありがとね」


お菓子を渡すと
女将さんはぎこちない笑みを浮かべた。


「……代わりと言ってはなんですが
 これは使わないでください」


「っ…いつの間に…!?」


背中に隠したはずの包丁が
私の手の中にあって女将さんが目を見開く。

アイテムボックスを駆使して奪ったのだ。


「こんなものじゃどうにもなりません。
 もう少しだけお待ちください」


「アンタ…アンタたちは一体……」


どこで誰が聞いてるかわからないので
そっと唇に人差し指を当てた。


「私は……蕨姫様のただの取り巻きです」


上手く笑えただろうか……
今はどうか気付かないふりをしてください。



* * *



女将さんを思い止まらせたので
これで彼女の死亡フラグは大丈夫だろう。

あとはみんなの到着を待てば…


────ぎゅるるぅ…っ!


「え…なっ?!」


おめかししてもらったお礼をしようと
禿ちゃんたちの元へ向かう途中
経験ある圧迫感に身動きがとれなくなる。

それはもちろんあの帯だ。

周りに誰もいなくてよかったけど
大胆すぎる呼び出しだと思う。


──どん…っ


「いたたたっ…蕨姫様。
 人目もあるのでこの手段はお控えを。
 お声がかかればすぐ……っ」


呼びつけずとも会いに行くつもりだったし
部屋に連れ込まれて少し不満げに顔を上げた。


けど、

膝元にしなだれかかる例のけしからん恰好の
彼女の頭を撫でる人物を見て
それどころじゃないと言葉を失う。


「しばらく見ぬうちに
 随分と堕姫に飼い慣らされたようだな。
 期待はずれの共喰い鬼よ」


自他ともに認めるバカな私は失念してた。

そういえば原作において
女将さんが蕨姫様に殺されたときに
“ヤツ”は京極屋にいたんだ。



**********


続く

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煉獄さんコレクション

煉獄先生 歴史と教育への熱心な姿勢にうっとり!黒板じゃなくて先生だけを見つめちゃうと怒られるよ


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亜紀野ユキ(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます!続編もどうぞよろしく(^-^)/ (6月2日 0時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 久しぶりに作品見に来たらたくさん更新されててめっちゃ嬉しかったです!堕姫ちゃんとの関係のところで涙出ました...知らぬ知らぬうちに関係が深まっていって...(泣)来世のお話もすっごく良かったです。みんな幸せになって欲しいな...この作品をずっと応援してます! (6月1日 19時) (レス) @page40 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - みっささん» 嬉しいです!近日中にまた更新します_〆(゚▽゚*) (5月8日 18時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
みっさ - 初コメ失礼します!面白くて優しくて可愛いヒロインちゃんって神では!???何時も楽しく見させていただいてます!ゆっくりでいいので更新がんばってください! (5月8日 16時) (レス) @page47 id: 0ca1847e23 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - あさん» 頑張ります(〃ω〃)ポッ (5月8日 1時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2023年2月1日 16時

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