【鬼滅の刃】人生ハードモードでも貴方の生存ルート追い求めます！肆【煉獄杏寿郎】

百六十七話　先回りして待機 ページ22

【Aの目線】


ついに来てしまった
煉獄さんの死亡フラグに情緒不安定な
現場の夜叉野Aです。

のちに無限列車が脱線する予定の
線路沿いの林の中で絶賛待機中である。


弱味噌な私の掲げるモットーは
“原作を歪めぬよう犠牲を減らす”…だ。


深く考えないで
ただ感情のままに原作を変えてしまったら
原作知識というアドバンテージを失う。

それでは私のいる意味がない。


だから、ずっと前から練り上げてた
煉獄さんの死亡フラグ回避方は
極めてシンプルかつ難しくはない。


それは──…

────全て終えてから治療にあたる、だ。


これから煉獄さんや炭ちゃんたちが
懸命に戦う無限列車に私は乗らない。

炭ちゃんが列車と融合した魘夢の頚を斬り
列車が脱線して怪我人が
たくさん出てもまだ姿は現さない。


上弦の惨の猗窩座が轟音とともに現れて
煉獄さんが戦ってる最中も…

深く傷を負っても……

奴の腕が彼のみぞおちを貫こうとも………


朝日が昇るまで私はずっと
この林の中で静観する必要がある。


理由は二つ。


第一に、私自身は弱くて足手まといだ。

無限列車に乗っても幸せな夢に溺れて
すぐに精神の核が破壊されるだろう。

煉獄さんに微笑みかけられる夢なんて見たら
発狂してすぐにホイホイされてしまう。


猗窩座は一般人や鬼殺隊であろうとも
女は殺さないという信念があるし
煉獄さんの盾くらいにはなれそうだけど…

そもそも彼らの動きが異次元すぎて
庇うに庇えん…むしろ邪魔である。


第二に、原作の流れを大事にしたい。

ここで策を練って
一足先に猗窩座を倒したりなんかしたら
無惨がどう動くかわからなくて怖い。

原作において煉獄さんの仇ではあるが
そもそも鬼の中で猗窩座のことは
意外と…いや、かなり好きな方である。

やっぱり彼は成長した炭ちゃんの手により
穏やかな最期を迎えてもらい
来世で恋雪ちゃんと幸せになってほしい。

ご祝儀とか出産祝いとか…現金振り込ませろ！


とにかく、最初に欠ける上弦の鬼は
陸の堕姫様と妓夫太郎兄さんであるべきだ。

兄妹愛溢れる彼らも好きだけど！！


「……来世はキメツ学園の世界線求む…っ」


ツラい現実から逃れようと
そんな願望が口から出てしまった。

敵も味方も魅力的な人物が多くて困る。


陽光を防ぎながら治療にあたるために
準備した土台つき日傘の柄を
すがるようにぎゅっと強く握りしめた。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


続く

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