【鬼滅の刃】人生ハードモードでも貴方の生存ルート追い求めます！惨【煉獄杏寿郎】

百四十二話　思い違い ページ46

「もしや…少女は俺が……」


「嫌いなのでは」


躊躇いながら紡ぐ己の言葉に
庭からぽつりと被せられた呟きに
ピシィ…と、杏寿郎が固まる。

それは、義勇が悪気なく発したものだった。

先程のAと輝哉の会話で
恩師の家に彼の苦手な犬がいるのを知って
顔には出ないが実は内心困っている。


「ちょっと冨岡さん……
　よりによって貴方が言わないでください」


「しのぶも冨岡くんに失礼よ」


那田蜘蛛山でも義勇は
炭治郎と禰豆子を庇った際に会話の流れで
みんなに嫌われてるとしのぶに言われた。

しかし、打ち解けてはいないが
嫌われてはないだろうと今も彼は信じている。


残念ながら口下手が災いして
風柱と蛇柱辺りには嫌われているが。


「やはり……そうなのか…っ」


その言葉に頭を鈍器で殴られたような
とてつもない衝撃を受けて杏寿郎の声が震える。


「大丈夫よ、煉獄くん。
　不死川くんなんて初対面で首に刀突きつけて
　投げ飛ばして頭を鷲掴みしたのよ」


「余計なこと言うなァ」


その行いを思えば
実弥の方が断然嫌われる要因があるだろう。

けれども、A本人は
怖いけど嫌いじゃないとはっきり言っていた。


「ね、しのぶ？」


「本来鬼は睡眠を必要としません。
　なのでAさんは現在失神しています。
　原因として考えられるのは
　強い緊張状態にあって精神的負荷を受け…」


「しのぶ…！」


カナエは同意を求めたが、
しのぶは冷静に医学的検知から意見を述べた。

追い討ちになったのは言うまでもない。


「(精神的負荷…)ならば俺は……
　少女にとって不死川より怖い存在なのか…？」


「いちいち俺を引き合いに出すなァ！」


一連のやりとりを黙って聞きつつ
ふと天元はAの発言を思い出した。


“だいたい私は…！炎を連想させる
　正義感が強くて凛々しい眉に
　つり目気味の綺麗な瞳をした
　素敵な殿方にしか興味ないですからっ！！”


点と点が繋がり一つの答えが導き出される。


(明らかに煉獄のことじゃねーか！！
　こいつらどんなすれ違いしてんだよ！？)


不器用同士ゆえのすれ違いとすぐに察した。


「地味にうじうじすんじゃねーよ。
　嫌われてるどころか、むしろ…」


「宇髄」


ド派手に真相を暴露しようとするが、
岩柱の悲鳴嶼行冥に制止された。

盲目な分、人の感情の機微に敏感で
察しの良い彼も事の全容を把握している。


理解した上で言うべきでないと思った。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


続く

百四十三話　結ばれた縁→←百四十一話　想いは交錯して

煉獄さんコレクション

煉獄先生　歴史と教育への熱心な姿勢にうっとり！黒板じゃなくて先生だけを見つめてしまうと怒られちゃうよ？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す