百三十九話 襖の向こう側で ページ43
「少し待っていてね」
そう微笑むと、歩みを進め
開け放たれた襖の奥へ輝哉が消える。
しかし、その声は庭まで届いた。
「急に招集をかけてすまなかったね」
「遅くなって申し訳ありません。
ご無沙汰してます」
鈴を鳴らしたような弾む声に
とっさに杏寿郎が立ち上がった。
今すぐ屋内へと踏み込んで
襖を開けたい衝動と戦い、震える。
(襖の向こうに…あの子が……！)
他の柱から視線を集めるも
激しく脈打つ鼓動によってそれも気付かない。
なおも輝哉とAの会話は続く。
「Aも那田蜘蛛山にいたんだね。
おかげで多くの子供が死なずに済んだよ」
「ありがとうございます……
でも、亡くなった方も少なくありません。
先ほど隠の方にご遺体をお渡ししました」
「……ありがとう」
輝哉が穏やかに笑みを深める。
隊員の死に胸を痛めるAの優しさに
鬼殺隊の長として心から感謝した。
彼女がどのような人柄で
鬼殺隊の中にどれほど溶け込んでいるかが
初見でもよく伝わる会話だ。
「あの…！炭ちゃ…炭治郎と禰豆子は……」
「もう大丈夫だよ。
禰豆子が人を襲わない証明ができたから」
Aが意を決して拳を握りしめると、
輝哉はすぐに答えた。
つまりは、原作通りの流れだったのかと
炭治郎と禰豆子を思って苦しくなる。
「いじめられませんでしたか…？」
「実弥と小芭内が意地悪してしまったね」
そこで、Aの憶測が確信へと変わった。
「やっぱりあの怖いお兄さんは…！
もう粂野さんに告げ口しますっ！！」
ぷいっと顔を背けて唇を尖らせる。
病(呪い)で視野が狭まったとはいえ
定期的な鍼治療で進行を遅らせた
輝哉の目にはその子供っぽい仕草がよく見えた。
口元を緩めながら手招きして
それに従って近付いたAの頭を撫でる。
「悪気はないから嫌わないであげてね」
「ちょっと怖いけど嫌いじゃないです。
でも、炭ちゃんの代わりに
私が不死川さんに頭突きしていいですか？」
無邪気に声を弾ませると
柱の面々から再び堪えきれぬ笑い声が溢れた。
(……やれるもんならやってみろォ)
次に会うときは悪態つかず
きちんと感謝を告げようと思っていたが、
それは難しいだろう。
眉間のしわを深くして実弥は密かに思った。
「やめてあげようね」
「……はい」
やんわり止められて肩を落とす。
やむを得ず、報復は
粂野匡近への告げ口のみで済まそう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
続く
百四十話 待ちに待った再会!!!→←百三十八話 柱合会議にて
煉獄さんコレクション
煉獄先生 歴史と教育への熱心な姿勢にうっとり！黒板じゃなくて先生だけを見つめてしまうと怒られちゃうよ？
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亜紀野ユキ(プロフ) - 美奈さん» 共感アザースっ！！ (2022年9月6日 7時) (
レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - ＊舞夜＊さん» どうもです(´ω｀*)近々更新します!! (2022年9月6日 7時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
美奈(プロフ) - 続編…！！楽しみです！夢主ちゃんの言動がいちいちそれなすぎて（？）ニヤニヤが止まらない…(*°ω°*)これからもお待ちしてます！応援してます！ (2022年9月5日 23時) (レス) @page50 id: 654a1bab90 (このIDを非表示/違反報告)
＊舞夜＊(プロフ) - もう再会編、たまらないです！！ 気絶するのがすごく親近感湧きます！！！ これからも頑張ってくださいo(`･ω･´)o 続編待ってます！！！！ (2022年9月5日 15時) (レス) @page50 id: d349d12c8d (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綺羅さん» ありがとうございます！推しの多量摂取は危険ですから(´∀`)ｷｬｯ (2022年8月21日 12時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜紀野ユキ
| 作成日時：2022年3月3日 9時
