百三十七話 いざ柱合会議へ ページ41
【目線なし】
「では行って参ります、母上!」
「はい、臨時の招集なのですね」
煉獄家にて、
息子の杏寿郎の出立を瑠火が見送る。
「なんでも鬼殺隊の剣士が
鬼となった身内を匿っていたそうです」
「そうですか……家族が鬼に…」
「いかなる理由があろうとも
あってはならぬことです!
己の目で確かめて参ります」
「ええ、気をつけて」
背を向けて歩きだした
杏寿郎の姿が見えなくなるまで
瑠火はいつまでも見送り続けた。
そこへ、背後から声がかかる。
「母上!Aさんからお手紙です」
「今日は何が書かれているのでしょう」
千寿郎から受け取ったそれを
その場ですぐ広げる。
「まあ…!Aさんの飼い犬が
三匹の仔犬を生んだそうです」
「きっと可愛いでしょうね」
穏やかに目を細める母を見て
千寿郎もつられて笑みをこぼした。
「いかに可愛くて嬉しいか
文面からも伝わってきます」
ぺらっと紙をめくると
また瑠火の表情が変わる。
「あら…愛犬との再会は名残惜しいですが
すぐにお館様の往診に向かわれるそうです」
「ということはAさんも柱合会議に…?」
「……ようやく、会えるのでしょうか」
二人の口元に優しい笑みが浮かんだ。
願わくば───…
ずっと待ち望んでいた彼らの再会が
良いものであるように。
* * *
一方、鱗滝の家では、
「尊い…っ!!可愛いっ!!
いっそのこと食べちゃいたい!!!」
仔犬を眺めて床を転げ回るAがいた。
「比喩表現なのはわかるが
鬼の立場でそれは笑えん冗談だな」
「た、たしかに……大丈夫だよ、きなこ!
絶対食べないからねっ!」
微笑ましいやりとりに鱗滝が目を細める。
「招集されているのだろう。
そろそろ本部へ向かわんと…」
「わかってますけど…っ」
お館様からの手紙を握りしめながら
Aの心は大きく揺らいでいた。
「きゃんっ」
「わうっ」
「あ〜っ可愛すぎるって!!
ここから動きたくないですっ!」
「良い子だから行きなさい」
「判断が遅いと言われようと構わぬ!」
「───わんっ!!」
「っ…わかったよ!
もう黙っていなくならないでね」
諭すように一吠えしてAを急かした。
未練がましい背を見送りながら
やれやれ…と鱗滝がため息をこぼす。
「……世話の焼ける飼い主だな」
「わう」
それにきなこは力強く返事した。
**********
続く
煉獄さんコレクション
煉獄先生 歴史と教育への熱心な姿勢にうっとり!黒板じゃなくて先生だけを見つめてしまうと怒られちゃうよ?
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亜紀野ユキ(プロフ) - 美奈さん» 共感アザースっ!! (2022年9月6日 7時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - *舞夜*さん» どうもです(´ω`*)近々更新します!! (2022年9月6日 7時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
美奈(プロフ) - 続編…!!楽しみです!夢主ちゃんの言動がいちいちそれなすぎて(?)ニヤニヤが止まらない…(*°ω°*)これからもお待ちしてます!応援してます! (2022年9月5日 23時) (レス) @page50 id: 654a1bab90 (このIDを非表示/違反報告)
*舞夜*(プロフ) - もう再会編、たまらないです!! 気絶するのがすごく親近感湧きます!!! これからも頑張ってくださいo(`・ω・´)o 続編待ってます!!!! (2022年9月5日 15時) (レス) @page50 id: d349d12c8d (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綺羅さん» ありがとうございます!推しの多量摂取は危険ですから(´∀`)キャッ (2022年8月21日 12時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2022年3月3日 9時