百七話 強制力で済まさない ページ11
彼の話によると──…
雪の降る、ある日を境に
竈門一家が姿を消したのだと。
屋内は筆舌に尽くしがたいほど凄惨な状態で
彼や麓の人々が協力して
綺麗に片付けてくれたそうだ。
…─────いつでも帰ってこれるように。
「……三郎さんはお分かりですよね？
竈門家の皆さんに何が起きたのか」
「ああ……よりによって
こんな優しくて…温かい家族が……っ」
鬼に家族を殺された経験のある彼は
竈門家が何に巻き込まれたか
すぐに察しがついたことだろう。
そっか……本当に、そうなんだ。
「ごめ…なさい……結局…私は何もできなくて…っ」
泣いて済むことではないけれども
今の私には泣いて懺悔するしかできない。
「Aちゃんも知ってるのだろう…？
というか、おまえさんは……」
「はい────私も鬼です」
言いにくそうにする三郎じいさんを見て
私は自ら打ち明けた。
八年前と姿形が変わらないので気付かれて当然。
あの頃は十六歳の姿で固定してたから
実年齢十四歳の今の方が
むしろその目に幼く映ってることだろう。
「やはりそうか……だが、
おまえさんは他とは違うようだな」
そういうと、三郎じいさんは
懐から紙の束を取り出して私に差し出した。
突然のことに首を傾げる。
「ずっと前に炭十郎から託されたんだ。
自分らに何か起きたあとに
あんたが訪ねてきたらこれを渡して欲しいと」
上手く言葉が出なくて無言でそれを受けとる。
広げた手紙には、
炭十郎さんの温かい人柄が伝わる文面で
私への感謝と気遣いが綴られていた。
“きみがこの手紙を読んでいるということは
最悪の事態が起きてしまったのだろう”
“どうか自分を責めないで欲しい。
病を癒された健康な身体で
家族と過ごせた日々は幸せだった”
“力及ばず申し訳ない。
もし預言の通りになってしまったのならば
面倒をかけるが、炭治郎と禰豆子を頼んだ”
読み終えた手紙を仕舞って、
私は目を擦りながら三郎じいさんと向き合った。
滲んだ視界ではちゃんと見えない。
「三郎さん……炭十郎さんは
健やかに過ごされていましたか？」
「……とても幸せそうだった。
昔は到底出来なかっただろうが、
子供らを抱えて山を全力で駆け降りたり
まさに絵に描いたような家族だった」
きっと、私の血鬼術がなければ
その光景は見られなかった。
私にも少しは存在価値があったのだろうか。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
続く
煉獄さんコレクション
煉獄先生 歴史と教育への熱心な姿勢にうっとり！黒板じゃなくて先生だけを見つめてしまうと怒られちゃうよ？
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亜紀野ユキ(プロフ) - 美奈さん» 共感アザースっ！！ (2022年9月6日 7時) (
レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - ＊舞夜＊さん» どうもです(´ω｀*)近々更新します!! (2022年9月6日 7時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
美奈(プロフ) - 続編…！！楽しみです！夢主ちゃんの言動がいちいちそれなすぎて（？）ニヤニヤが止まらない…(*°ω°*)これからもお待ちしてます！応援してます！ (2022年9月5日 23時) (レス) @page50 id: 654a1bab90 (このIDを非表示/違反報告)
＊舞夜＊(プロフ) - もう再会編、たまらないです！！ 気絶するのがすごく親近感湧きます！！！ これからも頑張ってくださいo(`･ω･´)o 続編待ってます！！！！ (2022年9月5日 15時) (レス) @page50 id: d349d12c8d (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綺羅さん» ありがとうございます！推しの多量摂取は危険ですから(´∀`)ｷｬｯ (2022年8月21日 12時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜紀野ユキ
| 作成日時：2022年3月3日 9時
