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七十三話 小動物のような ページ26

【目線なし】


真菰の背からAが
遠慮がちに顔を覗かせてパチッと目が合うと
槇寿郎はふと妻の言葉を思い出した。


“とても可愛らしい女の子でしたよ。
 情熱的で…けれども奥ゆかしくて
 怖がりというか…そう……まさに──…”


「…──小動物のような子だな」


無意識にそう呟いていた。

以前、瑠火にAの印象を訊ねたとき
そのように話していたが
当人を目にして槇寿郎は得心がいく。


大きな黒い瞳が好意的に見つめてくるが、
こちらから近付こうものなら
一目散に逃げてしまうだろう。

まさにそれは警戒心の強い小動物だ。

そう思うと、ほっこり癒される。


「炎柱殿…こちらへは
 どのような用向きで参られたのだ?」


Aへの助けの意味合いも含めて
鱗滝が槇寿郎にそう問いかけた。

元水柱である彼は炎柱と多少の面識がある。


「これは元水柱殿……!実はこちらに
 共喰い鬼がいると鎹鴉より報せを受け
 柱の中で一番近くにいた私が馳せ参じました」


槇寿郎のその言葉にAの肩が跳ねた。

ついに鬼殺隊の全隊士に共有されている
“共喰い鬼は生かして捕らえよ”という指令が
実行されてしまうのではないか…と。


現段階でAは己が鬼殺隊にとって
どのような存在かいまいち把握していない。

個人的に関わった隊士は何人もいるが、
共喰い鬼の噂を広め全隊士に周知させた
上の…お館様の考えが読めないのだ。


原作において、禰豆子の存在を黙認し
のちに珠世に協力を仰ぐほどの深い度量は
存じてるが、それでも不安は尽きない。

真菰の隊服をきゅ…っと握りしめた。


「それは……Aを
 鬼殺隊本部に連行しようということか?」


鱗滝の声音が警戒から一段階低くなる。


「それに関しては一つ認識を改めて頂きたい。
 元よりお館様に共喰い鬼を害す意図はない。
 異質な鬼の存在を隊士に周知させ
 その他の有象無象と同様に斬り捨てぬための
 柱など一部のみが真相を知る方便だ」


「そう…なんですか?
 (お館様ーっ!!マジ聖人君主!)」


その言葉に安堵して
強張っていたAの表情が少し和らいだ。

それを見て槇寿郎も口元を緩め
片膝をついて目線を合わせて彼女と向き合う。


「ああ。鬼殺隊の中には
 鬼に底知れぬ憎悪を抱く者も少なくない。
 君をこちらで保護するために
 その者ら全員から理解を得るのは難しい」


そう、幼子でもわかるようにと
優しい口調で語りかけた。



**********


続く

七十四話 感謝と萌えと頼み→←七十二話 おじさまカッコいい


ラッキー人物

煉獄杏寿郎 一目見ればそれだけで運気もテンションも体温も動悸も血圧も爆上がり!!死なない程度に盛り上がろう!


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亜紀野ユキ(プロフ) - 広海さん» どうもです!! (2022年2月23日 9時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
広海 - とても面白いです!続きが気になります。頑張ってください! (2022年2月21日 14時) (レス) @page44 id: 07ce481f94 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 茜さん» どうも!!!頑張ります(´ω`*) (2022年2月14日 20時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 楽しみに読んでいます!実に最高ですね(笑)体調崩さないよう応援してます✨ (2022年2月14日 19時) (レス) id: 1b144ebba8 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - みこちさん» 嬉しいデス!!忍たま良いですね(*´∇`*)私は水練の舳丸さん推しです (2022年2月12日 9時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2021年11月26日 21時

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