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六十三話 穴があったら… ページ16

【目線なし】


翌朝、煉獄家では──…


「それで…あめもらいました!
 “千ちゃん”ってよばれて頭なでられました」


すっかり体調の戻った杏寿郎と、
疲労回復した瑠火と、帰宅した槇寿郎に向かい
千寿郎が身振り手振りで昨夜のことを伝える。


「よかったな、千寿郎」


「はい、ちちうえ!
 ははうえのお話しどおりにAさん
 やさしいおねえさんでしたよ」


「俺も会ってみたいものだ…」


柱という多忙な立場もあり槇寿郎は
Aと会う機会をことごとく逃している。

一個人としてお礼も言いたくて…
また、鬼殺隊の一員としても接触したいが
なかなか上手く事は運ばない。


「私も眠っていたので会話も出来ず…
 勿体ないことをしました」


「またそのうち会えるだろう」


「ええ、そうですね」


「ところで……杏寿郎はどうしたんだ?
 風邪はすっかり治ったはずでは…」


槇寿郎が視線を向ける先には
まだ一言も発してない杏寿郎がいる。

頭からすっぽり布団を被り雪山のような姿で。


「寝ぼけてAさんを私と間違えて
 甘えていたと千寿郎から聞かされて
 恥ずかしがっているんです」


「なるほど…」


幼子が体調不良で身も心も弱って
母に甘えるのは至極当然のこと。

しかし、実際に頬擦りしたのは
己より幼い少女にである。


「あにうえーAさん怒ってませんよ。
 “我が生涯に一片の悔い無し”って
 泣いていってましたよ」


布団の上に乗っかり千寿郎がそう呼びかけ
早く出てくるよう兄を急かす。

その微笑ましい光景に
瑠火と槇寿郎は顔を合わせて笑った。


ちなみに、頼まれた伝言はそれではない。


「(また泣かせてしまったのか!?)
 よもや……不甲斐ない…!
 穴があったら入りたい!!」


「過ぎたことを悔やんでも仕方ありません」


(あのときのことを謝りたかったのに…
 面と向かって話をして
 もっと父上のような立派な姿を……)


「ほら、Aちゃんから
 見舞いの品がたくさん届いてるぞ」


「さつまいもの洋菓子もありますよ」


──ピク…ッ


その言葉に杏寿郎がおそるおそる
布団から顔を覗かせる。


“早く元気になってね──杏寿郎さん”


己の名を呼ぶ優しい声音と
離れがたく感じた手の感触。


(あれは……幻では無かったのか。
 いっそ目を開けていれば…)


それを思い出すと、不思議と体温が上がり
杏寿郎の顔に熱が集まった。

彼らの再会はいつになるだろう。



**********


続く

六十四話 錆兎いや、錆兎さん→←六十二話 推し語りさせて!


ラッキー人物

煉獄杏寿郎 一目見ればそれだけで運気もテンションも体温も動悸も血圧も爆上がり!!死なない程度に盛り上がろう!


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亜紀野ユキ(プロフ) - 広海さん» どうもです!! (2022年2月23日 9時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
広海 - とても面白いです!続きが気になります。頑張ってください! (2022年2月21日 14時) (レス) @page44 id: 07ce481f94 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 茜さん» どうも!!!頑張ります(´ω`*) (2022年2月14日 20時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 楽しみに読んでいます!実に最高ですね(笑)体調崩さないよう応援してます✨ (2022年2月14日 19時) (レス) id: 1b144ebba8 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - みこちさん» 嬉しいデス!!忍たま良いですね(*´∇`*)私は水練の舳丸さん推しです (2022年2月12日 9時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2021年11月26日 21時

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