六十一話 看病イベントは突然 ページ14
視界に飛び込んだのは
もちろん煉獄さん。
苦しそうに寝息を立てていらっしゃる。
現在十歳のその姿はまだあどけないけど
あのときよりも
凛々しく素敵に成長されてます。
いろんな感情がせめぎ合ってるけど
とりあえず──…
「こ、これから鍼治療をします」
「はい！」
千ちゃんも私の隣に行儀よく座って
見学する気満々である。
やだ可愛い…！
──トントン…トントン…
苦しそうな表情に胸が痛んでツラいけど
ぐっと堪えて無心で鍼を打った。
風邪だし、自己治癒力だけを高めて
自分の力で治した方がいいよね？
「煉獄さん……早く元気になってください」
「Aさん…あにうえもぼくも
“れんごくさん”ですよ？」
千ちゃんの鋭い指摘に意表を突かれる。
「そ、そうだね……千ちゃん。
早く元気になってね──杏寿郎さん」
うきゃあ〜っ！！！
杏寿郎さんって呼んじゃった！！
きっかけをありがとう、千ちゃん！
いくらでもお菓子あげちゃう！
「うっ……あつい…っ」
その苦しげな声を受けて
枕元にある水桶と手拭いに気付いたので
私は慌ててそれらを手に取る。
手拭いを水に浸して固く絞って
煉獄さ…杏寿郎さんの熱い額に乗せた。
すると、鍼治療が効いてきたのか
手拭いが気持ちよかったのか
少し呼吸が楽になった気がする。
──そっ…
出来心で、その頭をそっと撫でる。
今…私ほんと幸せ〜！！
「そういえば…瑠火さんはどうしたの？」
「ははうえはあにうえのかんびょうで
つかれたみたいで少し休んでます」
「元気？」
「はい！」
「よかった…あとで瑠火さんのとこにも
疲労回復の助けに鍼を打ちに行くね」
「おねがいします」
すると──…
────ガシ…ッ
千ちゃんとの会話の間にも
ずっと本能に従って頭を撫でていた私の手を
横になったまま杏寿郎さんが掴む。
突然のことで逃げ遅れた。
「あ、あの…っ」
「……手」
すっすみません…！！
寝てる間に何勝手に人の頭を
撫で繰り回してんだ…ってことですね？
「手が……冷たくて気持ちいいです…母上」
──！！？
すり…っと握った私の手に
意識が朦朧としたまま頬擦りする
杏寿郎さんに呼吸が止まる。
な…何が起きてるの……！？
ここが天国…？
貴方こそが天使か？
「───我が生涯に一片の悔い無し」
この上ない至福に私は感涙し
天を仰いでこの世の全てに感謝した。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
続く
ラッキー人物
煉獄杏寿郎 一目見ればそれだけで運気もテンションも体温も動悸も血圧も爆上がり！！死なない程度に盛り上がろう！
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亜紀野ユキ(プロフ) - 広海さん» どうもです!! (2022年2月23日 9時) (
レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
広海 - とても面白いです!続きが気になります。頑張ってください! (2022年2月21日 14時) (レス) @page44 id: 07ce481f94 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 茜さん» どうも!!!頑張ります(´ω｀*) (2022年2月14日 20時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 楽しみに読んでいます！実に最高ですね（笑）体調崩さないよう応援してます✨ (2022年2月14日 19時) (レス) id: 1b144ebba8 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - みこちさん» 嬉しいﾃﾞｽ!!忍たま良いですね(*´∇｀*)私は水練の舳丸さん推しです (2022年2月12日 9時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜紀野ユキ
| 作成日時：2021年11月26日 21時
