39 ページ40
『すごいですね...』
「土砂降りだな」
今日の夜は、星を見る会だったのに。
このままじゃなくなっちゃいそう。
そして、スーパーについても、
雨は止むことを知らなさそう。
雨音が聞こえる、
先生が車を止めて振り返った。
「傘、」
『、』
先生が、助手席から、傘を出す。
「一本しかないからさ、嫌かもしんねーけど」
困ったように笑った先生が、
車から降りて、
ドアを開けられた先には、
雨なんて一滴も落ちてこない。
少なくとも、雨の日は、大野がこんな風にするはずで、
慣れてるはずなのに、
先生と同じ傘に入るってだけで、
緊張して。
「おいで、」
そうやって笑うから、
怖いって思った気持ちすら、
もう、どうでもよくなって。
車を降りた。
先生がドアを閉めるときに、腕と腕が触れて、
それは、
とってもドキドキした。
先生が、肩を引き寄せる。
きっと、これに深い意味はない。
ただ、濡れちゃうから。
「すげー雨だった(笑)」
先生がたたんだ傘は、
大量の水を滴らせてる。
いこっか、って笑う先生は、
きっと、ちっとも私のことなんて見てない。
ただの生徒、
ただ、仲良しの友達の妹。
ずるい、
先生はずるい。
カートにかごを乗せて一緒に歩いていると、
なんだか一緒に住んでるコイビトみたいだけれど、
いろんなところに映る自分が、制服を着ているから、
そんな幻想、一瞬で消える。
「これでい？」
『はい、』
皆の分の飲み物でかごをいっぱいにして、
レジに並ぶ。
「内緒な、」
こっそり、先生も飲み物を買ってた。
「わり、多すぎるからやっぱ前乗って？」
『せんせ、』
おいで、って
先生はずるい。
さらっと私を助手席に乗せて、
「て、出して」
『わ、』
雨で、冷えたそれに、
あったかいお茶を乗せてくれた。
『あったかい、』
「ん、」
どれどれ、って私の手を取って、包んだ。
「あったけぇ、」
先生の指先が、
指の間に入り込む。
きっと、誰に同じことをされても、
今みたいに苦しくならない。
先生が好きなんだ。
「帰ろう」
先生は、ひどい人。
狡いんじゃない、
なんて、残酷な人。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 415人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あきんこ(プロフ) - ゆかりさん» 先生照れちゃいますよ(笑)いつも見ていただいて嬉しい限りです。 (2018年9月12日 17時) (
レス) id: 11450d0470 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 櫻井先生大好きです (2018年9月12日 10時) (レス) id: 8447f08366 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あきんこ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=akinko0125
作成日時：2018年9月5日 19時
