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い き な り 急 展 開
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「 あ、日比谷さんだ 」
トイレのドアを開けると、自分の名前を呼ばれた気がして、今だぼんやりとした目を凝らし、視界を安定させる。
見えたのは、女子数人の集団。ちなみに、全員、顔に覚えはない。
「 ‥‥‥どうも? 」
とりあえず当たり障りのない挨拶を返して、
が、その女子の集団にいる一人のリーダー格のの子が、何故かくすくす笑い始める。
私を見て笑ってる、という感じではなかったが、とても見てて心地よいものではなかった。
ここで、「はて?人がコンタクト直すのがそんなに面白いのか?」みたいな発言をするほど、私は天然ではない。
嫌な予感がする。
「 ねー、日比谷さんはどう思う? 」
「 ‥‥‥‥えーと、なんのこと? 」
この言葉だけで会話が成立するなんてことは起きない。実際、いきなり振られた話題に私はついていけなかった。
‥‥‥ただ、私に無関係の話、ではなさそうだ。
だからと言って、「 数学の宮路ウザくね? 」といった世間話をしたいわけでもない。
「 文野さんのこと 」
彼女の言っている“文野さん”は、ほぼ間違いなく文野雪のことだろう。
なぜそんなことを聞いてくるのかと聞いてみたが、曖昧な返事をされる。
‥‥‥いや、聞かなくともわかる。彼女達が、文野さんをよく思っていないからだ。
私からしたら、文野さんはいい人。だけど、誤解をされている。
そりゃ、多少と言わずかなり造っていると思う。
けど、それをふまえたとしても、私からしたらいい人だ。
‥‥‥たぶん。
そう断言してしまうには、私達は心の距離が遠い。
「 私は、 」
なんて言うのが正解なんて、私にはわからない。
好き。嫌い。───どちらも、違う。
何とも思ってないわけでもない。
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( あー‥‥‥ )
めんどくさ。
「 それに関して、私は答える必要がある? 」
あくまで、本心は隠す。
正解、ではない。けど、これが今私が答えられる最善だ。
そもそも、私達は初対面。それで好きだとか嫌いだとか、聞くのも答えるのも失礼だ。
「 ‥‥‥‥ふーん。そうなんだ。へぇ 」
「 ‥‥‥‥いこ 」
集団でいた女子たちは、気まずくなったのか、トイレからパタパタと足音をたてて出ていってしまった。
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恋う。(プロフ) - Renrenさん» 誰かの生きる理由になれるような偉大な作品を書けたとは全くもって思っていませんが、少しでもあなたのためになれたなら心から嬉しいです。こちらこそコメントありがとうございます!! (2020年12月26日 10時) (レス) id: b0168ce166 (このIDを非表示/違反報告)
Renren(プロフ) - 私も、生きる意味が分からなかったけど、この小説読んで今生きる理由を見つけました。ありがとうございます (2020年12月25日 20時) (レス) id: c1d45c9094 (このIDを非表示/違反報告)
恋う。(プロフ) - まみさん» あ"り"が"と"う"ごさ"い"ま"す"!!!!!!私自身も夢主ちゃん一途すぎね?と思いながらかいてます笑笑 昼神くん救われねぇなあ‥‥(遠い目)って感じです。コメントありがとうございました!!! (2020年12月7日 6時) (レス) id: b0168ce166 (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - もう本当に好きです、、、星海くんと夢主のすれ違いがなんとも悲しいし、夢主は他の夢小説と違ってほんとに一途でとても素敵だと思います。でも自分はどうしても幸郎に感情移入してしまってなんとも辛いです、、、 これからも応援させていただいています! (2020年12月7日 0時) (レス) id: 78a66a55d1 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - うわぁーーーーーー……。星海くん、イケメンやわぁ。夢主ちゃん最終的に選んで欲しいけんなぁ。。 (2020年10月11日 15時) (レス) id: 4da161d36b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋う。 | 作成日時:2020年7月12日 18時