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「 ‥‥‥軽蔑、した? 」
まだ話し足りなかったが、私の長い長い話はここまで。
そして、今の言葉は、重々しく口を開こうとしない昼神に対しての、問いだ。
「 ‥‥‥軽蔑なんて、 」
私の気持ちに同情してか、酷く悲しそうな顔をして、そこから少し笑って、
「 ‥‥‥するわけないよ‥‥‥ 」
昼神は、どこまでいっても、馬鹿みたいに優しい。
こんな話を聞いてもなお、私のことを受け入れてくれてる。
その優しさに、視界がぼやける。
私、ほんと泣いてばっかりだ。
泣き顔を見られたくなくて、昼神に背を向ける。涙が、止まらなかった。止まってはくれなかった。
「 私、が‥‥‥ね、弱音を吐いた時は、いつも、星海が喝入れてくれるの‥‥ 」
涙と、嗚咽が止まらない。
それでも、昼神が許してくれてる限りは、話を聞いて欲しかった。
途切れ途切れでも、ちゃんと伝えられてなくても、聞いて欲しかった。
「 ‥‥‥『頑張れ』じゃなくて、『頑張ったな』って、そう、言って‥‥くれるの 」
それが嬉しくて。
「 ‥‥‥‥私を見捨てようとなんて、しなくて 」
それも嬉しくて。
───でも、
「 好き、なんて気持ち、無い方が良かった‥‥‥ 」
いつだって、嬉しいより悲しいが勝ってしまう。
バレーをしてる、眩しくてカッコいい星海が好きだ。───バレーをしてる、星海が嫌いだ。
この世にバレーがある限り、星海が私に振り向いてくれることはない。
少しだけでいいから、星海の視界に私を入れて欲しい。
それって、我儘かな。
『 好き 』なんて二文字では足りない。大好き。大好きだ。本当に、心の底から、大好きだ。
それを伝えたところで、星海が私を好きになってくれるわけない。私が、1番近くで見てきたから知っている。
必死に拭いながら、それでも止まらない涙を流し続けながら、ふと考える。
嫉妬して、独占欲が出てきて、泣きたくなって、胸が痛くなって。
この感情は、私を不幸にしかさせない。
───いや、一回。一度だけ、あの告白の時。あの時だけは、嬉しいと思えたかな。
でも、それだけ。その時だけ。
あの、幸福が溢れそうになる気持ちは、一気に飽和して飛んでいきそうな気持ちは、二度と味わえない。
︎︎馬鹿みたいだ。もう終わってしまった感情に縋り着いて。
馬鹿みたいだ。一生解くことのできない呪いに取り憑かれて。
‥‥‥本当に、馬鹿みたいだ。
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恋う。(プロフ) - Renrenさん» 誰かの生きる理由になれるような偉大な作品を書けたとは全くもって思っていませんが、少しでもあなたのためになれたなら心から嬉しいです。こちらこそコメントありがとうございます!! (2020年12月26日 10時) (レス) id: b0168ce166 (このIDを非表示/違反報告)
Renren(プロフ) - 私も、生きる意味が分からなかったけど、この小説読んで今生きる理由を見つけました。ありがとうございます (2020年12月25日 20時) (レス) id: c1d45c9094 (このIDを非表示/違反報告)
恋う。(プロフ) - まみさん» あ"り"が"と"う"ごさ"い"ま"す"!!!!!!私自身も夢主ちゃん一途すぎね?と思いながらかいてます笑笑 昼神くん救われねぇなあ‥‥(遠い目)って感じです。コメントありがとうございました!!! (2020年12月7日 6時) (レス) id: b0168ce166 (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - もう本当に好きです、、、星海くんと夢主のすれ違いがなんとも悲しいし、夢主は他の夢小説と違ってほんとに一途でとても素敵だと思います。でも自分はどうしても幸郎に感情移入してしまってなんとも辛いです、、、 これからも応援させていただいています! (2020年12月7日 0時) (レス) id: 78a66a55d1 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - うわぁーーーーーー……。星海くん、イケメンやわぁ。夢主ちゃん最終的に選んで欲しいけんなぁ。。 (2020年10月11日 15時) (レス) id: 4da161d36b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋う。 | 作成日時:2020年7月12日 18時