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元々、私はあまり男子と話す方ではないし、ましてや星海となんて、会話を交わしたのは中学に入ってから、手で数えられるくらいだ。
「 ‥‥‥なに 」
つい冷たく当たってしまうのも、今だけは許して欲しい。
「 ‥‥‥こんなとこで、なにしてんだ? 」
「 ‥‥‥そっちこそ 」
「 俺は部活帰り 」
そっか、星海はバレー部だっけ。うちの中学は強豪だったもんな。
「 ‥‥‥帰り、遅くなると危ないぞ 」
「 別に危なくないし 」
「 変なやつに誘拐されるだろ 」
「 誘拐なんてされないし 」
「 通り魔が現れて殺されるかもだろ 」
「 ‥‥‥いっそのこと、殺されたい 」
自分で死ぬのは怖いから、誰かに殺して欲しい。
そんな我儘な願い、誰も聞き入れてくれない。
「 ‥‥‥死にたい、のか? 」
私と同じ目線までしゃがんで、じっと視線を合わせてくる。
なんでだろう、誰にも相談できないと思っているのに、星海に対してはすらすらと言えてしまいそう。
ああ、そっか。“他人”だからだ。
ただのクラスメイト。それ以上でもそれ以下でもない。
「 ‥‥‥死にたい 」
星海がいいなら、この行き場のない気持ちのはけ口にさせて。
「 なんで、死にたい? 」
「 生きる意味がわからないから 」
「 なんで、生きる理由が欲しい? 」
「 自分が存在していいのかわからなくなるから 」
「 ‥‥‥死ぬのは、怖い? 」
「 ‥‥‥めちゃくちゃ怖い。痛いのは、嫌い 」
すっかり泣き止んだ目を擦りながら、質問に受け答えする。
「 ‥‥‥それで、いいだろ 」
「 ‥‥‥───え? 」
どういうことかと擦っていた手を止め、目を見開く。
「 『 死ぬのが怖い 』って‥‥‥それが生きる理由でいいだろ 」
‥‥‥確かに。
「 ‥‥‥ぶっ、ふふ 」
「 なっ、なんで笑った!?俺そんなにおかしい事言ったか!? 」
手で顔を覆って、必死に笑いを堪える。
だって、その言葉はあまりに的を獲ていたから。
死にたくないから、死ぬのが怖いから。それだけで生きる理由になる。
なんで、そんな簡単なことに気づかなかったんだろう。
さっきまで泣いてたのが馬鹿みたいになった。
「 ほんと、馬鹿みたい‥‥‥ 」
さっき、枯れたと思った涙が、否、水滴が、目から何滴も零れ落ちる。
私の頬を濡らしているこの水滴は、笑い涙ってことにして欲しい。
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恋う。(プロフ) - Renrenさん» 誰かの生きる理由になれるような偉大な作品を書けたとは全くもって思っていませんが、少しでもあなたのためになれたなら心から嬉しいです。こちらこそコメントありがとうございます!! (2020年12月26日 10時) (レス) id: b0168ce166 (このIDを非表示/違反報告)
Renren(プロフ) - 私も、生きる意味が分からなかったけど、この小説読んで今生きる理由を見つけました。ありがとうございます (2020年12月25日 20時) (レス) id: c1d45c9094 (このIDを非表示/違反報告)
恋う。(プロフ) - まみさん» あ"り"が"と"う"ごさ"い"ま"す"!!!!!!私自身も夢主ちゃん一途すぎね?と思いながらかいてます笑笑 昼神くん救われねぇなあ‥‥(遠い目)って感じです。コメントありがとうございました!!! (2020年12月7日 6時) (レス) id: b0168ce166 (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - もう本当に好きです、、、星海くんと夢主のすれ違いがなんとも悲しいし、夢主は他の夢小説と違ってほんとに一途でとても素敵だと思います。でも自分はどうしても幸郎に感情移入してしまってなんとも辛いです、、、 これからも応援させていただいています! (2020年12月7日 0時) (レス) id: 78a66a55d1 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - うわぁーーーーーー……。星海くん、イケメンやわぁ。夢主ちゃん最終的に選んで欲しいけんなぁ。。 (2020年10月11日 15時) (レス) id: 4da161d36b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋う。 | 作成日時:2020年7月12日 18時