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そこに腰を下ろして横に並ぶと、なんとも気まずい空気になる。
今までも二人の時に無言だったこともあるのに、今日はいつもに増して、だ。
‥‥‥気まずいというより、緊張の方が正しいか。
もう少しで花火が始まるというのに、俺達の中に会話はない。
普段はくだらない話がぽんぽん出てくるのに、こういう時に限って頭が真っ白になる。
どうにかして空気を変えようと、俺は咄嗟にポケットからスマホを取り出しす。
「 やっぱり、もう一回幸郎に電話を‥‥‥、 」
そう言って、スマホを耳元に持っていった。否、持っていこうとした。
持っていけなかったのだ。日比谷が、俺の動きを止めたから。
その証拠に、スマホを持っている方の手は、日比谷の両手に包まれている。
「 ひびや、 」
「 ‥‥‥実は、 」
俺の言葉に被せられた言葉で、なにか大事な言われるんだと理解する。
「 今日のお祭り、ね 」
《ヒューン》
タイミングよく、花火があがる。
───でも、今だけは花火なんかどうでもよかった。
日比谷の話を聞かないと、駄目な気がしたから。日比谷の話を、聞きたいと思ったから。
「 ‥‥‥昼神に、おねがいしたの 」
「 ‥‥‥え? 」
《ドーン》
「 星海と二人きりにしてほしい、って 」
《ドーン》
俺の手を握っていた手は、微かに震えていた。
「 ‥‥‥話したいことが、あって 」
話したいこと?なんて、聞き返す勇気は俺にはなかった。
だって、状況、表情、そして、俺の手を握る手の熱。
それらを含めて、話したいことなんて、普段鈍いと言われている俺でもわかる。
それは───、
「 ───すき、です 」
─────。
「 ‥‥‥‥‥‥で、 」
「 え? 」
「 ───なんで、俺のこと好きなんだ? 」
日比谷の告白を受けた後の第一声は、想いを否定する言葉だった。
だって、そうだろう。
身長だって低いし、バレーばっかやっててつまらない奴だし、ずっと一緒にいてくれたからなんて理由だったら、幸郎だって同じだ。
それなのに、なぜ、俺を。
「 ‥‥‥そうだよね。バレー馬鹿だし、鈍いし、頭悪いし、チビだし、ガキだし 」
「 おい 」
次から次へと出てくる悪口の嵐に、思わず突っ込む。
でも、と言葉の続きを綴る。
「 ───それでも、好きだから 」
酷く悲しそうに、どこか慈悲の心を持ち合わせた、そんな口調で彼女は言った。
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恋う。(プロフ) - Renrenさん» 誰かの生きる理由になれるような偉大な作品を書けたとは全くもって思っていませんが、少しでもあなたのためになれたなら心から嬉しいです。こちらこそコメントありがとうございます!! (2020年12月26日 10時) (レス) id: b0168ce166 (このIDを非表示/違反報告)
Renren(プロフ) - 私も、生きる意味が分からなかったけど、この小説読んで今生きる理由を見つけました。ありがとうございます (2020年12月25日 20時) (レス) id: c1d45c9094 (このIDを非表示/違反報告)
恋う。(プロフ) - まみさん» あ"り"が"と"う"ごさ"い"ま"す"!!!!!!私自身も夢主ちゃん一途すぎね?と思いながらかいてます笑笑 昼神くん救われねぇなあ‥‥(遠い目)って感じです。コメントありがとうございました!!! (2020年12月7日 6時) (レス) id: b0168ce166 (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - もう本当に好きです、、、星海くんと夢主のすれ違いがなんとも悲しいし、夢主は他の夢小説と違ってほんとに一途でとても素敵だと思います。でも自分はどうしても幸郎に感情移入してしまってなんとも辛いです、、、 これからも応援させていただいています! (2020年12月7日 0時) (レス) id: 78a66a55d1 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - うわぁーーーーーー……。星海くん、イケメンやわぁ。夢主ちゃん最終的に選んで欲しいけんなぁ。。 (2020年10月11日 15時) (レス) id: 4da161d36b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋う。 | 作成日時:2020年7月12日 18時