30余所見 ページ36
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「それじゃあ、一足先に任務に行ってきます。幸も、怪我をしないようにね」
そう言って立ち上がった師範の服を、思わず掴んでしまった。
「まっ、てくださ、い」
このまま師範を行かせてしまったら取り返しのつかない事が起きてしまいそうだった。
そんな俺を、師範は困った様に見つめた。
「どうしました?」
「......すみません。何でもないです」
「変な幸」と言って、師範は襖を開けて任務に向かってしまった。
師範が去った後の部屋には、何故か藤の花の匂いが残っていた。
──
「ウガァァッ!」
襲いかかってきた鬼の首を跳ねる。
これで任務は終了...かな。
辺りを見渡して、鬼が居ない事を確認し、日輪刀を鞘にしまった。
すると、腕から血が流れてるのが分かった。
いつの間にやられてたのか...痛みを感じていなくて分からなかった。
全集中を使って止血し、手拭いで抑える。
今日は、なんか集中出来てないな...。
月でも見て気分を落ち着かせようと思い、夜空を見上げた。
しかし、今日は、新月だったらしく、月が見えなかった。
なんだか自分だけが取り残されたような気分になり、無性に寂しくなった。
「...早く帰ろう」
誰も居ない空間にポツリと言葉を溢し、速足で屋敷に戻った。
───
「ただいまー....」
寝ているだろうから静かに屋敷に入ると、灯りがついていたので、誰かしら起きてることが分かった。
んー...治療頼もうかな...。
まあ、ゆうて痛くないし、我慢するか。
はぁ、とため息をつきながら部屋へ向かう。
「幸さん!」
いきなり名前を呼ばれて振り向く。
するとそこには、きよちゃんが居た。
「おー。まだ寝てなかったのか。身長伸びないぞー」
「失礼ですね!」
怒ったきよちゃん可愛い。(※彼はロリコンではありません((多分)))
ははは、と笑いながら怪我した左腕を後ろに隠した。
バレたらもっと怒られちゃうからな。
「んじゃ、おやすみ」
「はい。任務お疲れ様です!」
「おー」
きよちゃんが部屋に入るのを見届けてから、今度は寄り道せずに自分の部屋へ向かった。
────────
きよちゃんの口調むずっ
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天の川(プロフ) - 5回目以上の読み返し。はぁ…最高すぎるわ…てか主さん主さん!カナヲは僕の嫁ですよ!!(真剣)(笑) (2022年2月28日 13時) (レス) id: 2d6957fece (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - うわあカナヲちゃん好きなので最高です!! (2020年8月14日 18時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 遅くなりましたが完結おめでとうございます!!幸くんの最後の台詞にやられました!幸くん、男前やん。もうものすごいにやにやしてましたw気持ち悪いぐらいにwお疲れ様です! (2020年5月28日 12時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんちゃんこ - お疲れ様です!別垢見つけたら絶対に作品見ます!! (2020年4月28日 17時) (レス) id: cf6601d86b (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり。(?)(プロフ) - 宙さん» 暖かいコメント、ありがとうございます‥‥。叩かれる覚悟で言ったのに、そんな優しい言葉をかけてくださり、本当にありがとうございます‥‥!涙出ます‥‥! (2020年4月27日 22時) (レス) id: 40246c291e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かたつむり。(?) | 作成日時:2019年12月22日 8時