25余所見 ページ31
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美琴さんからの告白を受け、なんとも言えない気持ちが俺を襲う。
しかし、不思議と驚かなかった。
きっと、俺は美琴さんの好意に薄々気付いていた。
その上で、カナヲのことを相談したりしていたのか。
全く、酷いやつだ。
「はぁー...」
どうしたものか、と考えていると、足音がした。
────もしかして、誰かに聞かれていた?
そうすると、色々ヤバい。
美琴さんが皆からからかわれたりして、それがヒートアップすれば、いじめだとかになってしまう。
とりあえず追いかけることにした。
けど、その人。気配を感じ取れてるからなんとか追いかけられてるものの、凄い速い。
もう夜だから良いものの、町中をぐわんぐわん走っていき、とうとう山の中まで来た。
なんか、ここまで来たら美琴さんがどうとかいうより、意地で追いかけたくなった。
「おーい!止まれー!」
いくら言っても全く止まろうとしない。
しょうがないな、全力でいこう。
風のような速さで一気に距離をつめ、逃げていた人の手を掴んだ。
すると、その人物はピタリと止まった。
「ちょ、さっきの何ですけど、聞かなかったことに.....え?」
言っている途中で、俺は自分の目を疑った。
こちらを振り向いたその人物は、なんとカナヲだったから。
え、ってことは、美琴さんの告白を聞いていたのは、カナヲってこと?
カナヲなら、他の人に言う心配も無いし、脅してきたりもしないだろう。
ただ、俺が必死に追いかけたのはなんだったんだろう....。
とりあえず、事情を説明しなきゃ。
「カナヲ、」
言いかけた時だった。
なんと、カナヲの目からぼろぼろと涙が零れていた。
「え?ちょ、....え?ど、どうしたの?」
目の前の光景が嘘みたいだった。
なぜか掴んだ手を離さずにいた自分に少し驚いた。
いや、その前にこの状況....どうしよう。
と、とりあえず何か言わないと...。
「えーと、その...あ!もしかして、妬いた?」
言った後に、やってしまったと思った。
そもそも、カナヲが妬くわけないし、泣いている人にそんな事言うのは失礼だし、何よりそれで違ったら自分が恥ずかしいからだ。
「あ、ごめん。その、今の忘れて...てうわっ!!」
いきなり胸元を掴まれてグラッと体が揺れる。
そして、目の前にはカナヲがいるわけで。
ぶつかる...!
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天の川(プロフ) - 5回目以上の読み返し。はぁ…最高すぎるわ…てか主さん主さん!カナヲは僕の嫁ですよ!!(真剣)(笑) (2022年2月28日 13時) (レス) id: 2d6957fece (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - うわあカナヲちゃん好きなので最高です!! (2020年8月14日 18時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 遅くなりましたが完結おめでとうございます!!幸くんの最後の台詞にやられました!幸くん、男前やん。もうものすごいにやにやしてましたw気持ち悪いぐらいにwお疲れ様です! (2020年5月28日 12時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんちゃんこ - お疲れ様です!別垢見つけたら絶対に作品見ます!! (2020年4月28日 17時) (レス) id: cf6601d86b (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり。(?)(プロフ) - 宙さん» 暖かいコメント、ありがとうございます‥‥。叩かれる覚悟で言ったのに、そんな優しい言葉をかけてくださり、本当にありがとうございます‥‥!涙出ます‥‥! (2020年4月27日 22時) (レス) id: 40246c291e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かたつむり。(?) | 作成日時:2019年12月22日 8時