【男主】余 所 見 す ん な 。【栗花落カナヲ】

８余所見 ページ11

「じゃあな！」

炭治郎がカナヲの手を放して去っていった。

何だろう、凄く嫌だった。

こ、これが妬きモチっていう奴なのか。

でも、炭治郎居なくなったし、大丈夫大丈夫..。

ふぅーっ、と深呼吸をした後、襖を勢い良く開けた。

その音にカナヲが少し驚いてしまったよう。

それでも、何食わぬ顔でカナヲに話しかける。

「カナヲ、炭治郎達が居なくなるらしいから、最後の見送りにいこう」

「う、うん」

あれ..目を反らされた。

大丈夫だよね、そう、大丈夫..。

「ところで、炭治郎と何話してたの？」

嘘、本当は聞こえていた。

見ていた。

ただ、カナヲの反応を見たいだけ。

「えっ、その、別れの挨拶をって..」

「...っ、そっか！じゃあ、早く行こ？」

「うん..」


あぁ、辛い、辛いよ。

そんな分かりやすい嘘吐かなくていいじゃん。

こんなに好きなのに、なんでこんなに辛いんだろう。

あぁ、痛い、痛いよ。

カナヲの行動一つでこんなに傷つくほど、カナヲのこと好きなのに。

カナヲは、俺のこと好きじゃないんだろう？

もっと、俺のこと見てくれよ。

余所見すんな。

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