【男主】余 所 見 す ん な 。【栗花落カナヲ】

６余所見 ページ9

しばらく叫び続けたあと、落ち着いた炭治郎は、俺にやり方を聞いてきた。

「自分で考えてこそ意味があるんだよ」などと気取った事を言ってみたりした。

「そっか、」と俺の言葉をそのまんま受け入れた炭治郎を背に、その場を去った。

「俺も鍛練しないとなぁ」

炭治郎が頑張っているのに、俺がサボっていい訳ない。

何しようか..。

とりあえず、ウォーミングアップとして素振り千回だな。

一回、二回..そんな、終わりが見えない事を始めた俺だった。

―――
―

カナヲside

いつも、いつも、見ていた。

暇があったら鍛練し、私を見つけたら笑顔で走ってきてくれた。

それが嬉しかった。

私は自分で考えることが苦手。

そんな中でも、私の気持ちを察して沢山話しかけてくれた。

気をつかえて、面白い人。

それが皆に広まって、幸は今、すっごく周囲の女の人から好意を寄せられていた。

何度か告白現場に居合わせたこともある。

その度、幸は「好きな人が居るから、ごめんね」と断っている。

好きな人──、誰なんだろう。

そんな事考えると、胸がきゅーってなって苦しい。

この気持ちは、何だろう。

皆は、これを「恋」と呼ぶ。

けどね、分からないんだ。

全部、全部。

誰か、教えてよ──。

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