16話 リンゴ ページ18
「リューク、アンタとは家で話せないかも」
リュ「え？なんで？」
「もしかしたらの話だけど、家にカメラと盗聴器が、仕掛けられてるかもしれないからね」
リュ「カメラと盗聴器ィ？」
Aの話に、一瞬顔を歪ませたリュークは、何かを思い返し、空を見上げるのであった。
リュ「…あーそういえば、家にカメラあったワ」
「え？やっぱり！？カメラどこにあった！？」
リュ「お前と、月と粧裕の部屋だろ？玄関、寝室、リビング、後は、風呂とかトイレにもあったような…」
「…マジで言ってる？」
部屋だけじゃなく、風呂やトイレにまで？
リュークの話に、Aは顔を引き攣らせた。
家中だけじゃなく、そんな所にまでカメラを仕掛けるなんて、人権侵害で済む話じゃないぞ。確実に、キラがいると見込んでの大胆な行動だ。
一体どうなっている？ここまで、もう目星がついているのか…？
「あぁぁ〜ッ！最っ悪！なんなのよそれッ！警察って本当に頭おかしいんじゃないの！？風呂やトイレにまで付けるなんて、ほんっと最ッ低…！」
リュ「あ、あー、まぁ…どんまい？」
「有り得ない有り得ない…！こんなの嘘よッ！もうキラだってバレてる？やりすぎたのかな、流石に殺しすぎた！？」
リュ「落ち着けって」
そうリュークが優しく声をかけた所で、Aの頭にある案が思い浮かんだ。
その途端、Aは泣き言を吐くのをやめ、死神に笑いかける。
「ねぇ、リューク」
リュ「ん？」
「死神は食事しなくても大丈夫だよね？」
リュ「え？」
「カメラがついてるから、リンゴはあげれないよ。
でも死神って餓死とかしないもんね。少しの間、リンゴがなくても我慢できるね」
しばらく沈黙が続いた後、声にもならない叫び声が辺りに響き渡る。
酷く慌てた様子のリュークは、しどろもどろに話し始めた。
リュ「ちょ、ちょっと待ってくれよ〜。俺にとってリンゴっていうのは、人間がタバコや酒を飲むのと同じで、食べないと禁断症状が…」
「どんな？」
リュ「体をむちゃくちゃ捻ったり、逆立ちしたり…」
「見たくない」
リュ「だろ〜？」
だからだから〜と、情けなく足にしがみ付くリュークに、Aはニヤケが止まらない。
「リンゴがどうしても食べたいのなら、私の部屋にあるカメラの数を、すべて把握する。
リュークなら、できるよね？」
拒否権すら与えない、圧のある笑顔だ。
リュークは少し黙った後、ソッと家の方へと飛んでいった。
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作者名：あっきー | 作成日時：2019年5月1日 12時
