14話 本物のL ページ16
『信じられない…もしやと思って試してみたが、まさかこんな事が…。
キラ、お前は直接手を下さずに人を殺せるのか?』
「…んあ?」
新たに出現した別の男の声に、Aは首を傾げる。
状況が掴めないと混乱するAに、男は語りかけてきた。
『よく聞けキラ、お前が今殺したのは、今日死刑になる予定だった男だ。私ではない。テレビやネットでは報道されていない、警察が極秘で捕まえた犯罪者だ。
流石のお前も、こんな犯罪者の情報は手にいれてないようだな』
ブチ、ブチチチッ
Aの堪忍袋の緒が切れる瞬間を、リュークは真横で聞いていた。
「こっ、こ、こいつッ…!」
『だが私は実在する。さぁ、私を殺してみろ』
「はぁ!?できるわけないでしょ!?」
だって名前がないんだから!!
『さぁ、どうした。はやくやってみろ』
「ねぇリューク!コイツの名前分かんないの!?」
リュ「あー…残念ながら、分かんねぇなァ」
『どうした?キラ、私を殺してみろ!』
「この役立たずッ!」
リ「えぇ!酷い言い草だなァ、まったく…」
『…、できないのか?』
こんな屈辱を受けたのは、生まれて初めてだった。
Aは激しい怒りを通り越して、ひどく冷静になる。
『…どうやら、私を殺せないようだな。
殺せない人間もいる。いいヒントを貰った。
お返しと言ってはなんだが、もう一ついいことを教えてやろう。
この中継は、全世界同時中継と言ったが実は日本の関東地区にしか放送されていない。
時間差で各地区に流す予定だったが、その必要はなくなった。
お前は今、関東にいる』
「…」
『ここまで自分の思い通りにいくとは、正直思っていなかった。
お前を死刑台に送るのも、そう遠くないかも知れないな』
「…ふんっ、何をふざけたことを」
『キラ、お前がどんな手段で殺人を行っているのかとても興味がある。
しかしそんな事は、お前を捕まえれば分かることだ』
私を死刑台に送る?そんなこと、出来るわけがない。
このキラである私を煽ったんだ。
L…お前を必ず見つけだして、名前をかいてやる。
この手で、書いてやる!!
『では、また会おう。キラ』
その声と同時に、テレビは砂嵐へと戻った。
そして、再び"L"という表示も出ることはなかった。
これをキッカケに、Aの中に"L"という男は、深く刻まれることとなる。
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作者名:あっきー | 作成日時:2019年5月1日 12時