検索窓
今日:22 hit、昨日:20 hit、合計:76,330 hit

11話 兄 ページ13

次の日、月と一緒に学校から下校し、いつものように自分の部屋へ直行しようとすれば、Aは後ろから腕を引っ張られた。


月「A、ちょっと」


振り向けば、真剣な顔をした月がコチラを見つめている。
はて、何か月にしたかな?なんて思いつつ、綺麗な顔の月をボンヤリと眺めていれば、月が困ったように口を開いた。


月「最近、ずっと上の空じゃない?
話してても曖昧な返事しかしないし、いつも自分の部屋にいるじゃないか。ご飯も食べに来ないし、なにかあったのか?」

「え!」


突然の話に、一瞬だけ胸が高鳴った。
声が裏返ったAを探るかのように、月がAの様子を伺っている。
月は勘が鋭い方だ。変に慌てたりしたら、怪しまれるだろう。


「いや、ちょっと今、授業でやってる所が難しくて、ずっと勉強しててさ」

月「…そうなの?」

「うん。でも大丈夫。心配させてごめんね!」


そう言うと、Aの腕を掴んだ月の手が、そっと離れていった。
納得したのかは分からないが、離してくれただけ良かった。


月「そうか。…ごめん。昔みたいに、また僕を避けているのかと思ってさ」

(昔みたいに、月を避ける…)


…あぁ、そうだ。自分だけがΩだと知った時、悔しくて悔しくって、月の顔も見ているだけで嫌になって、月を避けてた時期があったんだ。

月は何も、悪くはなかったのに。


月「A、何かあったらすぐに僕に言うんだよ。僕が助けるからね」

「…うん、ありがと、月」


なんだかAは苦しくなって、月の顔を見ることもせず、自分の部屋へと向かうのであった。




◆◆◆◆




「ッはああぁ…」

リ「お、深いため息だなぁ」


自分の部屋に入れば、当然のようにくつろいでいるリュークがそこに居た。相変わらず、手には大好物のリンゴを掴んでいる。


リ「お前の兄ちゃん、イケメンだなぁ」

「あぁ、見てたんだ?当たり前じゃん、私の双子なんだから」

リ「それに頭も良さそうだ。いつか、お前がキラだってバレるかも知れないな?」

「…あぁ、まぁなんとか隠し通すよ。私の理想の世界になるまではね」

リ「理想の世界?」


リュークが聞き返した途端、Aの瞳に光が宿る。
それが、あまりにも輝かしいものだったから、正直リュークは戸惑った。


「Ωが堂々と生きられる世界だよ!私はそんな世界を作りたい!」

リュ「な、なんでΩ?」


不思議そうに首を傾げたリュークを横目に、Aは引き出しを開ける。

12話 薬→←10話 リューク



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (37 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
88人がお気に入り
設定タグ:デスノート , L , オメガバース   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あっきー | 作成日時:2019年5月1日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。