9話 死神 ページ11
突然後ろから聞こえた声に、Aは驚いて振り返る。
と、そこには、人の姿とは思えない…例えるなら、化け物と言うにふさわしい何かがそこに立っていた。
突然現れた化け物にAは硬直し、声にならない悲鳴をあげる。
「〜〜ッッ!?」
リュ「…そんなに怖がらなくても。俺は死神のリュークだ」
「し、死神ッ…!?は!?そんなのいるはずないでしょ…!」
リュ「絶対あり得ないことなんてないって、お前が一番よく分かってるはずだろ?」
死神の言葉に、Aは息を呑む。
己の存在を受け入れろと死神が訴えているのを、肌で感じ取ることができた。
…たしかに、このノートだって、最初はあり得ないものだったよ。だけど、こんな怖い化け物が居るなんて聞いてないッ…!
リュ「ソレ、ただのノートじゃないって気づいてんだろ?驚いたぜ?五日間でこれだけの人間を殺すなんてな」
「…ッ私の魂を取りに来たの?私を殺しちゃうの?」
この死神はきっと、デスノートを取り返しに来たんだとAは思った。
なにせ、Aは勝手にデスノートを使ったし、その上、人を殺しているのだ。
この死神は自分の魂を取りに来たのだと、Aは信じて疑わなかった。
リュ「…はぁ?なんだそれ、人間が作った勝手なイメージか?
俺はお前になにもしないぜ。人間界に落ちた時点で、そいつはもうお前のもんだからなァ」
「え、殺さないの…?てか、このノート私のもの…!?」
リュ「あぁ、そうだ」
Aは呆気に取られる。
魂を取らないのなら、一体何をしに私の前に現れたのか?
そうAが考えれば、挨拶をしに来た、なんて目の前の死神は言い出した。
…それからAは、死神に色々な話を聞く。
Aが死ぬ間際になったら、この死神がデスノートにAの名前を書くとか、デスノートに触れた者にしか死神の姿は見えないだとか。
(デスノートを引き出しに隠すのは不味いな。
どこかまた、別の隠す場所を考えなければ…)
リュ「まぁ、デスノートは、お前と俺を繋ぐ絆だと思えばいい」
「絆…、じゃあ貴方は私の友達になれる?」
リュ「え?」
「私、ちょうど退屈してたんだよね。死神と友だちになったら面白そう」
Aは意外にも早く、死神の存在を受け入れた。
先程の、体を震わせていた少女はどこにいったのかと、リュークはAをジッと見つめる。
そんな時だ。
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作者名:あっきー | 作成日時:2019年5月1日 12時