私がキラでも【デスノート】 (ページ37)

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35話 Lの正体ページ37

父「…彼は本物のLだ。第三者には分からぬよう、我々は竜崎と呼んでいるがな」

「！！！」

月「うん、薄々気付いていたよ」

喉から手が出るほどに知りたかった、"L"の正体。
いけ好かない男が、己の最大のライバルである"L"だと気付いた瞬間、AはLから目が離せなくなった。

(この男が、どんな難事件でも必ず解決して来た影のトップ…"L"！？)

Aの熱い視線に応えるかのように、Lは口角をあげる。

お父さんがそう言うなら、この男は"L"で間違いないのだろうけれど…認めない。
こんなふざけた男が、私のライバルだなんて。
運命の番であるこの男が、Lだなんて。

父「…で、竜崎。月とAの疑いは晴れたのか？」

L「疑いといっても、ほんとに僅かなものですよ。
キラは、日本警察関係者を尾行したFBI捜査官12人を殺しています。その中にいたレイ・ペンバー…。
彼の死は、特に不審な点が多いです」

(やっぱり、あの件はやり過ぎたか…)

Lが己の喉元まで迫ってきているらしい。
もう少し考えて行動するべきだったと、Aは後悔した。

月｢…その彼が尾行していた者の中に、僕とAがいたという訳かな？それなら、疑われても仕方がないけれど｣

L｢月くんの推理力は大したものですね。いつも的確で早い｣

月｢…流河、捜査には協力するよ。流河がLということは父が証明してくれたからね。
そしてキラを捕まえ、僕達がキラじゃないことを証明してみせよう｣

Lと月がそんな会話をする中、キラ自身であるAは、この時間がとても無駄なことのように思えた。

だって、私を捕まえる事なんて不可能なんだから。
キラは死なない。永遠にこの世界で、犯罪者を裁き続ける。

父「…聞いてくれ、月、A」

総一郎の声に、月とAは、耳を傾けた。

父「キラは"悪"だ。それは事実だ。…しかし、最近、私はこう思うようにもなっている。
悪いのは、人を殺せる力なんだ。そんな力を持ってしまった人間は不幸だ。どんな使い方をしても、人を殺した上での幸せなど、真の幸せであるはずがないんだから…｣

…コイツは、何を言っている？

父の言葉を聞いて、Aは失望する。

デスノートを手に入れてから、不幸だなんて一度も考えたことはない。
それにAは、どんな手を使ってでも、自分を犠牲にしてでも、Ωが幸せに暮らせる世界が来るのなら、どんな奴だって殺してやろうと固く決意したのだから。