05. ヤミside ページ6
俺の腕の中で血塗れで浅い呼吸を繰り返す
『ｽｰｽｰ…』
きゅっ と優しく抱え安心させるように片手で頭から頸迄を何度も撫で続ける。
「(…もっと、早く来てやってれば…こんな傷負わなかったかもしれねぇのに……！)」
『怒り』や『後悔』が込み上げてくる
昨日だって雨だったからって、行かなかった…。
……其れなのに…こいつはそんな雨の中で傷を付けられた…。
…もう、こんな思いしたくねぇ…
こいつにも辛い思いしてほしくねぇ
俺はオーヴェンの爺さんがいる魔法騎士団 本部に着くとすぐに医務室に向かう。
その時にユリウスの旦那に会って空間魔法で空間を医務室まで繋げてもらって行った
─────ﾊﾞﾝｯ!
荒々しく扉を開けるとオーヴェンは吃驚した顔で俺を見る
「やぁ、ヤミじゃないか」
「こいつを助けてくれねぇか！」
「……その狼？！…分かった。其のまま抱えていてくれ。その方がこの子にも良いだろう」
俺とオーヴェンは向かい合わせで椅子に座り
ﾊﾟﾗﾊﾟﾗ と
「水回復魔法 クヴァレオペラツィオン」
白いクラゲが俺達を囲む
そして、何本ものクラゲの足が傷口に触れて治していく……
「…ふぅ、さ、治療は終わったよ。」
オーヴェンは
「まさか、ヤミがその子を連れてくるとは思ってなかったよ」
オーヴェンは微笑みながら言った
右手を狼の頭に乗せて 「良い人に出逢えて良かったな」 と言い再び俺を見る
「オーヴェンは…こいつを知ってるのか？」
オーヴェンは俺の言ったことに少し暗い顔をしながらも答えた
「嗚呼…この子、小さい頃から虐待を続けられていて…偶々森の方に行ったら倒れていたから。その度に治療をしてたんだ」
「……っ！んな、小さい頃から…」
「ヤミ…もし君が良ければ…なんだが、その子を飼ってみてはくれないかな？」
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作者名：黒猫 | 作成日時：2018年10月20日 10時
