04. ページ5
ｸﾞｼｬｧ…
────ｶﾗﾝｯ!
人の姿に変わった一瞬で雑に剣を抜き地に投げ捨て狼に変わる
剣に着いていた血は飛び散り草などに染みていく
『……ぁ…っぐ…ぅ……』
ぼたぼた と流れ出る傷口を押さえ楽な体制になる。
幸い、今の姿は狼な為近寄ってくることなど無いだろうから…
雨が止み…漸く陽が傾き始めた。
眼を斬られた処に向ける
あーぁ…毛にまで血が染み込んじゃって……酷いなぁ………
取れなかったらどうするのさ…
『(…血ぃ…止まんないな。)』
貧血になりそう…ってか、絶対なる…。
最悪だ…
『…… (ｳﾄｳﾄ』
もう、眠いし……此のまま寝てしまおうかな…
重たい瞼を閉じ暗い底知れない処に堕ちていった
─────
.
──
誰かが…呼んでいる……
──誰を？
「……い！……ろ…！」
───ああ……この声…知ってる…
「…おい！……ろ…！」
────…？何か言って…
「…おい！しっかりしろっ！」
────…嗚呼、そっか、まだ生きて…じゃあ、起きなくちゃね…
『……ぅ…？』
眼を覚ますとヤミは ほっと した顔だった。
「良かった…。どうした、この傷…」
『………』
剣の方を見て彼に訴える
──ｶﾁｬｯ
「此れで…刺されたのか…」
剣を持ち言う彼に僕は頷いた
…いや、頷けるくらいと少し鳴くくらいしか体力がなかった。
「オーヴェンの爺さんのところに連れて行く
…だから、あと少しだけ頑張れよ」
ヤミは僕を優しく抱き上げ其のお爺さんの処に向かって行った
腕の中はとても暖かくて彼の匂いがする
本当に……ヤミだけだよ…こんな奴なんかに優しいのは…
愛情もなにも知らない…だから、このモヤモヤした感情が何かも分からない
.
…でも、有難う………来るって…信じてた…
僕も…もう少し頑張るよ………ヤミ
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作者名：黒猫 | 作成日時：2018年10月20日 10時
