love at first sigh (ページ17)

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story16 ページ17

幸せって案外

フツーのことを、たくさん集めたモノ。

ーーー

私と平野くんが2人で食事って、どう言うシチュエーション？

『え、ちょっと、』

｢ご飯まだでしょ？｣

『まだだけど、』

確かに途中に取った休憩では、カフェオレとチョコレートしか口にしていない。

『えっと、2人...で？』

｢他に誰がいんの？｣

男の人と2人で食事なんて、行っていいのだろうか？
秀人の顔が少しだけ脳裏に浮かぶ。
私が逆の立場なら、きっと嫌だ。

『あの、平野くん...私、』

｢俺この間、誰かさんのせいで、エレベーターで時間ロスした時、帰ったの夜中だったんだよね｣

『え...』

｢そのせいで結局、あの日あった約束キャンセルになったし｣

...やばい展開だ。

｢その誰かさんは、確かあの日エレベーター直った途端、すぐに帰ってったような、｣

...はい。すぐに帰りました。

｢少しでも悪いと思ってるんなら、付き合ってくれてもいいような気もするんだけど...｣

『...はい』

秀人ごめん。
先を歩く平野くんの後を追う。

平野くんは歩くのが早い。
私が小走りで追いかけて行ったら、後ろをチラッと振り向いた平野くんは歩く速度を緩めた。

もしかしたら私に合わせてくれたのかな。

なんか、良い人なのか意地悪な人なのかよく分からない。

特に話すこともなくついた場所は、見た目少し年季の入った定食屋。

(いらっしゃい。あらっ珍しい！平野くんが可愛い女の子連れて来るなんて)

｢まだ閉店前だよね？なんか食わせて｣

平野くんはここの常連なのか、慣れたように奥のテーブル席に座った。

お店を切り盛りしているのは、50代の夫婦。
ホール担当が奥さんで、調理がその旦那さん。

メニューを見ると、定食以外にもうどんや蕎麦もあってその豊富さに驚いた。

｢何食いたいのか聞くの忘れたから。とりあえずここならなんでもあるから好きな物頼んで｣

豊富過ぎるメニューに困る。
どうしよう。悩む。けど、早く決めないと。

｢焦んなくていいから｣

...なんか、見透かされてる？

『ここのオススメって何かな？』

｢オススメ？おばちゃん、ここのオススメって何？｣

(そりゃ、サバの味噌煮定食だよ。)

『じゃあ、それでお願いします』

｢俺はいつもの｣

(はいよ！)

注文を終えてお店の中をキョロキョロ見渡す。
なんか、落ちつくかもこのお店。