遠 い 空 2

story 10 -haruki- ページ10

卓さん冗談って笑ってや。

ーーー


｢聞いたか?遥輝。
矢野さん、今シーズンで引退するらしいばい。｣


｢…え?｣


｢この世界厳しいよな。｣


.......



｢矢野さん!｣


｢おー、ラブラブ中の遥輝どーした?笑

久しぶりに飯でも行くか!笑｣


｢…はい。｣


札幌ドーム近くの居酒屋に矢野さんと行くと、
Aに連絡してから向かった。




｢Aちゃんも今、大変だろう?笑｣


｢…はい。よくやってくれてます。｣


｢揺れ動いて当たり前だと思う。
分かってやれ。｣


｢引退って、…ホンマすか?｣


｢もういいだろう。

良い時も、悪い時も、あった。

決めたんだ。

今まで、何も言わず俺を支えて続けてくれた、

嫁の為にも…

それに今、応えてやりたい。

遥輝は女の気持ちにどう応えてやれるかな…?笑｣



｢俺、甲子園に行けたんすけど、

優勝出来なかったんです。

高校3年間、あと一歩で届かへんかった。

オレ今もそれを引きずってるんすよ…｣



｢男ってバカだよな。笑｣

｢そうすね。笑｣



｢優勝したいなぁ。｣



｢はい。

もしまた、満塁ホームラン打てたら、

次は女を抱きかかえて球場一周したいっす。笑｣



｢おー、それいいな!笑

そん時は俺の嫁と子供もまぜてくれー!笑｣





｢そうと決めたら、迷うな遥輝。

お前がグラつくと、女もグラつく。

待ってる女の為にもグラつくなよ!遥輝。｣









決めてる。

ガキの頃から、たった一人。

苦労させると思う、これからも。

だけど、不安になるな。

不安にさせない男に俺なるから。





俺のお前の気持ちだけは、

一生グラついたりしないから…

story 11→←story 9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す