遠い空 2 (ページ14)

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思い出そう、

遥輝と出会う前の淋しかった自分を。

ーーー

遥輝のチームメイト達が集まる、
お店までの道中、しばらく2人とも無言のまま。

その沈黙に耐えきれず私から口にした。

『…ごめん。

遥輝がそんなこと思ってくれてたなんて、

私、知らんかった…』

｢…A、俺な?

お前と付き合った日から、

ずっと、長い間考えとった。

俺は野球しか出来ひんし、

正直、野球してる時はお前のこと忘れてるし、

そんな俺でもえぇんか?って、

お前が辛い時や、悲しい時、

俺はすぐに会いに行ってやれへんし…

だから、軽はずみに｢待ってろ｣って、

お前には、言えへんねん。

…不安にさせて、…ごめんな?｣

"ちゃんと将来のこと考えてるんや!"

遥輝の偽りない言葉が伝わってきた。
私の小さな淋しさは全部｢頑張れ｣に変える。

遥輝の優しさが少し変わった気がする。
男の子やった背中が、会えないうちに、
大人の男の人になった様に、
私を甘やかすのではなく、
私を大切にしてくれているのが、
今日、改めて思った。

人は欲張りな生き物だな、ってつくづく思う。
9年間会えなかった時に比べれば、
こんな不安なんかもう全然、平気。

｢卓さん?今、着いた。
うん、奥の個室?分かった。｣

そこには遥輝がよく話すメンバーがいた。

｢おー、遥輝!来たか。｣

｢Aちゃん!｣

｢え、マジ本物?｣

｢///照｣

一人一人、私に向けられる視線が痛い。

｢何、きゅん顔真っ赤にしとーっちゃん?笑｣

卓さんから"きゅん"と呼ばれた彼こと、
谷口さんは、ただただ私をチラ見しては、
私が視線を向けると逸らされる。

｢Aちゃん!宜しく!俺が杉谷拳士です!｣

と、谷口さんと違って、
カッコつけたポーズを決める杉谷さんが、
私に握手を求めてきたので、
手を差し出そうとすると、
卓さんと遥輝に止めらた挙句に遥輝から、

｢拳士うっさいし。｣

と言われて｢俺、先輩やぞ！｣って、言い返していた。

あと、黙ってそのやり取りを、
ニコニコと笑ってる近藤さんもいる。

｢とりあえずビールで乾杯でもすっか?笑｣

｢｢｢｢俺、車!｣｣｣｣｣

と、口々に否定されてる拳士さん…笑

なんか面白い人。

ムードメーカー的な存在の人なんかな？

　