遠い空 (ページ8)

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少しずつ、
今を見つけていくつもり。

ーーー

｢A、今、何を考えてる?｣

『…何も。』

｢お前が生きてるこの世界、
汚い世界と思うか?｣

『汚いとか思わない。ただ、キレイなものじゃないのは確か。』

｢…そっか。俺も5年前、
路上ライブで歌ってるお前を見た時、
日本でただ一人本物のロックを歌える
女性シンガーを育ててみたいと思った。
だが、俺が考えた以上のアイドル性があった。
お前には幸運がついてまわってる。
こんな小さな事務所からスターが出た。
社運がかかってる。
もはや、俺とお前の問題じゃなくなってる。
お前はもう"地元のアイドル"には戻れないんだ。
お前が作った歌が売れれば名曲だ。
そして、同時にスターのスキャンダル程、
莫大な金になる。
だから、遥輝とは…｣

分かってる。

今の私にためらうことなく遥輝に会う事、

そして、恋愛のスキャンダルなど出ちゃいけない。

事務所的にはそれは暗黙のルールで、

ご法度だと言うこと。

遥輝…

これが、

引き換えに私が掴んだ光。