遠い空 (ページ47)

今日:5 hit、昨日:18 hit、合計:65,145 hit

story 47 ページ47

愛される喜び、
あなたが教えてくれた。

ーーー

卓さんと電話を切った後、
すぐに遥輝から電話が掛かってきた。

『もしもし?』

「…誰と喋ってたん?」

『え?』

「そろそろ帰る頃かと思って。

何回も電話したんやけど…」

「えっ?嘘!」

携帯を見ると、確かに遥輝から着信が6件、
LINEも8件きていた。

『ごめん。

ジョーと喋ってて、全然気がつかへんかった。笑』

卓さんと"電話で喋ってた"なんて、
言ったら変に勘ぐられるから黙っとこ。

｢いつ何時、俺から連絡あるか分からんし、

ちゃんと携帯チェックしとけ!分かった?｣

『はーい。笑

あ、今日スタイリストさんから、

ブレスレット"可愛い"って言われたで。笑』

左手首に光るブレスレットを見つめながら、
さっきの卓さんの言葉を思い出して、
顔が熱くなってしまう。

｢スタイリストに褒められてもなぁ…

俺はお前が気に入ってくれたらそんでえぇ。｣

『気に入ってるよ!笑

だって、遥輝から貰った初めてのプレゼントやし、

それに、あんな意味があるなんて知らんかったし…』

「あんな意味?何それ。笑」

え？意味ない感じ？

『えーっと、』

「意味なんてないで?

ただAに似合うと思って買っただけやし。笑」

マジ？
って、卓さーん！泣
意味ないって言われたよー！

『あ、そうなんや。笑』

笑ってそう誤魔化すと、
遥輝は楽しそうに笑って"変な奴"って呟いた。

ホンマに恥ずかしい…
でも、遥輝がこんなに楽しそうに笑ってくれるから、
私もつられて笑ってしまった。

意味なんてなくたっていっか。
このブレスレットは、私の一生の宝物。

「A?｣

『ん?』

｢絶対外すなよ!

俺がお前に掛けた手錠…｣

声だけでもどんな顔してるのか分かる。
電話越しの奥で小さく笑う声。

見えてないけど、きっと遥輝は片方の口角を上げて、
意地悪な笑顔して笑ってるに違いない。

遥輝って、ホンマに極上のサディスト。
"意味なんてない"って言ったくせに。

この先、ずっと、
この手錠が外れることがない様に、と
左手首に光るブレスにキスを一つ落とす。

遥輝、
幸せはきっともう既にこの手にあるよ。